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芸者から大臣の良妻へ!鹿鳴館の華、陸奥亮子/日本史 アッパレな女たち(2)

女性の活躍なしの日本史なんてありえない!『東大教授も惚れる! 日本史 アッパレな女たち』(本郷和人著)より、歴史を騒がせた女たちの華麗なるガチンコ対決を通じて、日本史の裏の裏までをご紹介します(第2回)。

<お市の生きざま・あらすじ>
「戦国時代ナンバー1美女」の誉れが高い信長の妹・お市は、織田家の政略で浅井家へ嫁いだものの、実兄の信長によって滅ぼされてしまいます。そして信長の死後、お市は筆頭家老の柴田勝家と再婚しました。しかし、その勝家も織田家の跡目争いで秀吉に敗北し、彼女は三十代半ばにして自分の意思で夫とともに果てることを選んだのでした。

戦国一の名花と鹿鳴館の華、不動のセンターは?

そして陸奥亮子。明治の元勲のひとり、外務大臣を務めた陸奥宗光の奥さんです。この人は、戸田極子と並んで「鹿鳴館の華」と称された人でした。もし「ロクメイカンフラワーズ」というグループが結成されていたら、ヲタはキワコ派とリョウコ派に分かれ、どっちが上か熾烈な争いを繰り広げていたことでしょう。


彼女は、もともと旗本のお嬢さん。しかし家が零落し、芸者に出て「新橋の名花」と言われるようになっていた。陸奥宗光はその頃のお客だったのですが、先妻を亡くした後、彼女を妻に迎えます。

この時期、ともかくあるんですよ。政府の偉い人、明治の元勲たちは、芸者さんだとか遊女だとか、そういう人とくっつくケースが多い。で、僕はそこは男の気持ちを認めてあげたいと思うんだけれども、愛人じゃなくちゃんと正妻にするんです。

伊藤博文も、山県有朋も芸者さんと結婚している。木戸孝允の妻も京都一と言われた芸者ですし、薩摩出身、海軍の山本権兵衛の奥さんは元遊女です。その点、変な処女性にこだわる江戸期と違って、明治はおおらかでいいなと思います。


陸奥宗光は、坂本龍馬の海援隊に参加して、龍馬にも「侍をやめて食っていけるのは俺とあいつだけだ」と認められていた。彼も龍馬を慕って、龍馬が暗殺されたときには、仇と見た相手に切り込んで「天満屋事件」を起こしている。外交で腕をふるった彼の後半生を考えると、もろ文系が刀を振り回して切り込んだというのが、なんか面白いですね。

しかし彼は西南戦争のあたりで反政府的な行動をとり、懲役五年を食らって、ブタ箱にぶち込まれてしまう。恩赦があって三年ほどで出てくるのですが、この間、亮子は一生懸命、夫のいない家を守り、義理の父母に仕えた。しかも先妻の間にできた二人の男の子の面倒も見て、大変な良妻ぶりを示しました。


陸奥宗光のほうも一生懸命、奥さんに手紙を書いてそれが残っているのですが、相思相愛だったんだろうなと思わせる内容です。いい夫婦なんですよ。

陸奥宗光は「カミソリ」とあだ名されるぐらい非常に優秀な男で、リーダーシップはないけど、外務大臣とかをやらせると抜群の才能を発揮する。

当時の日本は、旧幕府時代に結んだ不平等条約を一生懸命改正しようとしていたのですが、その先頭に立ったのが彼。当時、いちばん最初に平等な条約を結んでくれたのは、実はメキシコなんです。そのメキシコとの修好通商条約を皮切りに、陸奥宗光は治外法権などが含まれない、本当に平等な条約を外国との間に次々に結んでいく。

その彼を支えたのが亮子さんだった。陸奥宗光は駐米公使としてワシントンに赴任するのですが、彼女のすごいところは、ワシントンでも社交界の華として有名になるんです。ただ美しいだけではなく、極めて深い知性を持っていて、気のきいたジョークのひとつも飛ばした。きっとそのような女性だったのでしょうね。

それと、当時の日本女性はすごく海外で評判がいいんですね。やっぱり一つには単純にエキゾチックとか、そういう物珍しさもあったんでしょうけれども、それにしても亮子さんは海外でも大変に評判がよかったようです。


彼女は夫を本当によく支え、子どもも生んで、天寿を全うする。そういう意味でもいい人生なのですが、何といっても歴史上の美人、といえば、真っ先に名前が出てくる。彼女について、具体的なエピソードはあまり残っていないんですけれども、とにかく美人、陸奥亮子といえば美人、そんなに中身のない評価だけれども、ここまで美人美人と言われるなら、それでいいでしょう。




本郷 和人/まんきつ

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】本郷 和人(ほんごう・かずと)
1960年東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学・同大学院にて石井進氏、五味文彦氏に師事し、日本中世史を学ぶ。著書・監修など多数。ドラマや漫画、アニメの時代考証にも携わり、日本史をおもしろく解説してくれる第一人者として、各方面から引っ張りだこの存在。

【著者紹介】まんきつ
2015年に初の単行本『アル中ワンダーランド』を刊行。以降、『まんしゅう家の憂鬱』『湯遊ワンダーランド』など、独特の視点と描写によるコミックエッセイ、ルポ漫画が評判となる。2019年2月にペンネームを「まんしゅうきつこ」から「まんきつ」に改名。

【書籍紹介】『東大教授も惚れる! 日本史 アッパレな女たち』(集英社)

©本郷和人/集英社
©まんきつ/集英社

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