スキルUP

社員へのラブレターと意義の共有でモチベーションアップ!/ミッション(2)

一流は「火花散る一瞬」ために生きる! スターバックスとザ・ボディショップの両ブランドを見事に再生させた敏腕経営者・岩田松雄氏の著書『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』より、一流の仕事術をご紹介します(第2回)。

火花を見逃さないリーダーの8つの習慣

【習慣3】ラブレターのようにマネジメントレターを書く

ザ・ボディショップは私が離れる時点で175店舗まで拡大しました。スターバックスに至っては、就任当初で800店舗以上のお店が存在し、退職時には900店舗に近づいていました。

できることならそのすべてを巡回し、お店のみなさんと話をしたいと思っていましたが、それはかないません。もちろん地域ごとに店長に集まってもらうミーティング(ラウンドテーブル)をできるだけ多く行う努力をしていました。

私の考え、メッセージ、そして会社のミッションを伝える手段は、マネジメントレター(全パートナーに送るメール)でした。ザ・ボディショップのときは毎週1回、スターバックスでは月に1回、さらに何かニュースがあったときに臨時発行していて、月2回ほど書いていました。

私にとって、マネジメントレターは、遠くに住む恋人に送るラブレターのようなものでした。

たくさんのお店があり、距離的にも離れています。お店のみなさんに簡単に会いに行くことはできない。私の思いを直接伝えたいけれど、なかなか会えない。

一方お店のみなさんも、本部の様子がわからない。今社長は何を考えているのか、何が会社の問題なのか、これからどこを目指しているのか、今どのような状態なのか。

私は、できるだけ詳しく会社の現状を記し、最近あったいいこと、そして現状の問題と取り組みを書きました。アニータやハワード・シュルツに会って話せばその内容を伝え、ミッションこそがブランドを形作る、というような、この本でも何度も繰り返している話を毎回訴えたのです。

お店回りをしていると、マネジメントレターを読んでくれたお店の店長さんたちから、声をかけられるようになりました。いつも楽しみにしています、忘れかけていたミッションを再認識できた、といったうれしい言葉をくれるのです。

つい最近ザ・ボディショップの人から連絡をいただき、こう言われました。

「岩田さんは毎回、レターの一番最後を『ありがとうございました』と締めくくってくださいましたよね。あれ、とても心に響いていました」

スターバックスの店舗の前で交通事故を起こしてしまった女性に1杯のコーヒーをお出ししたパートナーは、その当時起こった西日本での災害を見た私が、「困った人を見かけたら手を差し伸べてほしい。スターバックスの社員である前に人間として正しい判断をしてほしい。私は必ずそれを支持する」と綴ったレターを読んでくれていたと思います。

社長は経営全般を見ることが大切な仕事です。売り上げ150億円、あるいは900億円。前年比何%増。営業利益率は?SPH(時間当たり人時生産性)は? 一株当たり利益は? 株価は? それらのことは経営者として頭に入れておくことは大切です。しかしそれ以上に自分の思いをみんなにどう伝えるのか、みんなの思いをどう感じとっていくのか? それこそが一番大切な仕事だと思います。

数字や指標が大切なことは否定しない。しかし、たとえ売り上げが何百億円であろうと、それは300円のコーヒー、1000円のボディシャンプーの積み重ねでしかない。何億回もの火花がお店で輝いた結果初めて形作られているのです。だから私は、お店の人たちに気持ちを込めてレターを贈り続けたのです。


【習慣4】背景と意義を必ず説明する

立場が上になればなるほど、リーダーの重要な役割は、いかに人に仕事をしてもらうかということになります。

私は指示やお願いをするとき、できるだけその背景にある意図や、意義を説明するように心がけていました。

A:「このデータ、前期、前々期と比較して表を作って、30部コピーしておいて」

B:「このデータ、明日の○○ブロックの店長会議で使いたいんだ。前期、前々期と比較して表を作ってほしいんだけど、店長さんたちを元気づけるために伸びが強調できるようにしておいて。みんな喜ぶだろうから。今聞いている参加者は30名だけど、必要分コピーしておいてね」

AとB、しゃべる時間の差はせいぜい10秒。しかしBのほうは、自分が与えられた仕事が持っている意味、それがどういう形で社業にかかわっているのかをはるかに理解しやすいはずです。

ちょっとでいいので、背景や意義を説明しておくと、相手はモチベーションがわき、仕事の優先度合い、要求されているクオリティのレベルを判断できるのです。これは、クセさえつけてしまえばそれほど難しいことではありません。

マネジメントレターとも共通しますが、私は、よきリーダーはよき説明者であると考えています。

せっかくミッションを持ち、目標を掲げて走っていても、今どのあたりを走っているのか、スピードはどのくらい出ているのか、もっとよいやり方はないのか、自分は全体に貢献できているのかを知りたくなるし、知らされるほうが、目標に向かおうとする力そのものがより強くなる。だから、数字をはじめとする情報はできるだけオープンにし、みんなで共有するほうがいいのです。


【習慣5】褒めるときはみんなの前で、注意するときは個別に

リーダーに褒められるとうれしいものですが、ときとして叱らなければならないこともあります。私は、できる限り感情的になってはいけないと考えています。しかし、ビジネスとしてではなく、人間としてどうしても許せないことが起きると、普段は使わない大阪弁で怒鳴ることもたまにあります。

それはともかくとして、できるだけ心がけていることがあります。いい話、褒める話は、できるだけみんながいる前ですること。反対に、叱る場合、悪い部分を指摘して改善を促す場合はできるだけ人目を退け、個別にすることです。

そして、開口一番怒らないように気をつけています。悪い部分がある人、ミスをしてしまった人にも、他のよい部分を褒めたり、がんばっていることに対する感謝を述べたりすることから入ります。こうすることによって、より深い部分に言葉が届く。結局は相手の成長を促し、能力を引き出すきっかけとすることが目的だからです。

反対にいきなり悪い部分を指摘し始めると、叱られ慣れていない人ほど、自分はリーダーに嫌われている、あるいは自分の人格を否定されてしまったと考えます。他人の面前なら、恥をかかされたとも思ってしまう。もちろんそんな意図はないのですから、こうしたデメリットはできるだけ避けることが大切です。



岩田 松雄

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】岩田 松雄(いわた・まつお)
元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者。3期連続赤字企業を見事に再生させる。2009年スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOに就任。『スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉』(KADOKAWA)など著書多数。

【書籍紹介】『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』(アスコム)

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