数式が現代アートに! 数学ビジュアライズの世界にブームの兆し
KADOKAWAセミナーでは先日、自ら「数学のファン」を名乗り、数学の魅力をさまざまな切り口で伝える数学ライター&ブロガー・鯵坂もっちょさんを講師に迎え、「はじめてのDesmos & GeoGebra講座」を開講。動的な数学アプリ「Desmos(デスモス)」と「GeoGebra(ジオジェブラ)」の特徴をデモンストレーション形式で紹介した。
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今、大人を中心に数学ブームが巻き起こっている。書店には数式をパズルや謎解きのように楽しむ書籍が並び、ネットでは数式によって描かれた現代アートのような作品が話題になっている。
自ら「数学のファン」を名乗り、数学の魅力をさまざまな切り口で伝える数学ライター&ブロガー・鯵坂もっちょさんも、まさにその1人。KADOKAWAセミナー「はじめてのDesmos & GeoGebra講座」で、無限の可能性を秘める数学ビジュアライズの入り口へと参加者をいざなった。
数学アプリで描くアート作品は1万いいね!を獲得することも
数学をテーマにした大規模プレゼンテーションイベント「ロマンティック数学ナイト」でも毎回ユニークなプレゼンで注目を集める鯵坂もっちょさん。グラフ描画アプリ「Desmos」や動的な数学アプリ「GeoGebra」を駆使した数式お絵描きは鯵坂さんの得意とするところで、Twitterに作品をアップすると、ときには1万以上のいいね!が付くことも。
見るものを釘付けにする美しい数学アート作品の数々はどうやって作られているのだろう? セミナーは、これまでに公開した作品を例に挙げ、その制作過程を再現しながらアプリの操作方法を解説する形で進められた。
操作がシンプルでビジュアライズの第一歩にも最適「Desmos」
まず前半は、Desmosのデモンストレーションからスタート。Desmosと検索しアクセスすると座標が表示され、左側の入力欄に数式を入力すると自動的にグラフ化される。登録なしですぐに使え、アプリ版でもブラウザ版でも使用することができるのが手軽で良い。
鯵坂さんはさっそく、セミナー前日に自身のTwitterで公開した、約数をビジュアライズするアニメーションの制作過程をこの場で公開。手際よく数式を打ち込みながら一つ一つ工程を解説し、およそ30分で約数ビジュアライズを再現した。
Desmosは色や文字サイズの変更など操作がシンプルで、関数のサポートの幅も広い。入力した数式の意味や関数の役割などが視覚的に理解できるという点で、数学の間口を広げるアプリと言えるのではないだろうか。
3Dにも対応、豊富なコマンドが自由度を高める「GeoGebra」
後半は、GeoGebraを使ったデモンストレーション。GeoGebraもDesmos同様にアプリ版とブラウザ版の両方が提供されているが、インターフェイスが若干異なるため、自分に合ったものを使い込んでいくのが良さそうだ。GeoGebraは座標画面にツールの呼び出しが備え付けられており、直感的な描画から数式を作成するということができる。
GeoGebraの強みは、3Dの表示が可能なこと。そこで鯵坂さんは、GeoGebraで作成した九九を階段状にビジュアライズした3D画像の再現に挑戦。時間の都合上、完成形まで作り込むことはできなかったが、角柱になる面が立体的に並んだ瞬間にはチャット欄の参加者も湧いた。
数式による入力が基本となっていたDesmosに対し、コマンドによって自由な描画を実現できるGeoGebra。数学に苦手意識を持つ人にとっては、コマンドのほうが分かりやすいかもしれない。
まずはやってみよう!数学ビジュアライズ
数学ビジュアライズに興味を持つ人は多いものの、そこから実際に作ってみようと手を動かす人は少ない、と語る鯵坂さん。アプリの使い方を紹介することで「利用者が今後少しでも増えれば」と数学の輪が広がることを願ってセミナーは幕を下ろした。
プレゼンイベントさながらにチャット欄も盛況。参加者からの質問や感想を鯵坂さんが随時拾いながら進行するスタイルは参加者との一体感を生み出した。
数学ライター&ブロガー。
自ら「数学のファン」と名乗り、その数学の魅力をさまざまな切り口で伝える。グラフ描画アプリ「Desmos」や、動的な数学アプリ「GeoGebra」を駆使した数式お絵かきを得意とする。また、大規模数学イベント「ロマンティック数学ナイト」では、ほかのプレゼンテーターとは異なる毛色のプレゼンを武器とし、毎回拍手喝采となる。共著に『笑う数学』『笑う数学 ルート4』(共にKADOKAWA)、監修に『OKRA』(正進社)がある。