資産3億円を突破した投資家VTuberに学ぶ「決算書の分析術」

株投資をする上で欠かせない、決算書の分析。しかし数字や専門用語だらけの決算書には難しそうな印象があり、敬遠し投資そのものに挫折してしまう人も少なくない。KADOKAWAセミナーでは、『決算書「3分速読」からの”10倍株”の探し方』の刊行を記念し、投資家VTuber・はっしゃんさんによるオンラインセミナーを開催。決算書の見るべき項目と、成長株の決算書に共通するポイントを伝授いただいた。
投資歴25年のキャリアを持つはっしゃんさんによれば、「評価の高い企業には大きく2つの共通点がある」という。1つはROE(自己資本利益率)の高さ。加えてもう1つ、大きなポイントとなるのは「海外への進出」だ。本セミナーでは、書籍には書かれなかった「成長企業と海外進出の深い関係」にフォーカス。ここでしか聞けない貴重なノウハウの数々を聞き逃すまいと、多くの受講者が耳をそばだてた。
従業員持株会から始まり、資産は3億円を突破! はっしゃんさんの強みとは
サラリーマン時代に従業員持株会から投資を始めたというはっしゃんさんは、資産3億円突破を機に独立。現在は投資家VTuberとしての活動を軸に、株価情報サイトkabuka.bizの監修にも携わっている。
過去の投資成績を振り返ると全体的に右肩上がりではあるものの、25年の間には「高い勉強代」を払ったことも少なくないという。2006年のライブドアショックでは、割安の成長株に長期投資を続けるもじわじわと目減りし、資産が半減。間違った長期投資は報われないことを、身をもって学んだ。失敗をきっかけに知識や技術をアップデートし、投資スタイルを変えながら現在の資産を築いてきたことが、はっしゃんさん最大の強みと言えるだろう。

そして何よりも大きかったのは、「決算書」からの学びを軸に実践を積み重ねてきたことだとはっしゃんさんは語る。決算書からどのようなことが学べるのか、チャンスはどこに眠っているのか、はっしゃんさんに詳しい話を伺ってみよう。
「全指標を見る必要はない」はっしゃん流、財務三表の読み方
企業の経営状態は、キャッシュフロー計算書(CF)、バランスシート(BS)、損益計算書(PL)の財務三表に顕著に表れる。成長株の財務三表にはどのような傾向があるのだろうか。書籍で紹介されている見える化ツールを使って、実際の企業データをはっしゃんさんに実演分析していただいた。
会計収支と現金の流れは必ずしも一致しないため、企業の実態を見るにはCFが一番だとはっしゃんさんは注視する。一方、BSで見るべき指標はたった一つ、自己資本比率のみをチェックすれば良いというのがはっしゃん流。比率が30%以上あるか、自己資本が前年に比べて大きく減少していないかを見ておこう。また、PLをチェックする際は理想的な数値を叩き出しているキーエンス社を参考に。利益率が軒並み50%を超える高水準を示しているが、これほどの数値が出せる企業は国内にそう多くない。
書籍では決算書の数値を踏まえた、より詳しい解説がまとめられている。関心のある方はぜひこちらもご覧いただきたい。

成長株と海外進出の深い関係とは? 書籍未収録の話も続々
後半では、「本では書ききれなかった」トピックとして、成長株と海外進出の深い関係にも言及。半導体業界に代表されるように、市場では海外進出を前提とする企業が高く評価される傾向にある。これは単純に市場規模の違いと言うことができるだろう。成長限界も、国内市場だけを相手にしている企業よりはるかに高い。まだ海外進出していない企業でも、成長シナリオとして今後海外に進出する可能性がありそうかどうかを見極めの基準の一つに持つことが重要だとはっしゃんさんは指摘する。
また、投資のタイミングとしてはいくつかのポイントが考えられる。海外進出を発表したとき、M&Aで海外企業を取得したときなどはその一例。四季報や決算の説明会資料を活用して海外比率の伸びを四半期ごとに観測しておくと良いだろう。

その他にも、理論株価で買う場合の基準と注意点や、損切りルールと利大損小に関する話など、はっしゃんさんのノウハウが惜しげもなくシェアされる充実の2時間はあっという間に幕を下ろした。
人気VTuberによる生配信のセミナーということもあり、60名を超える受講者たちも前のめり気味。講演中に寄せられた質問にも一つ一つ丁寧に回答し、最後まで盛りだくさんのセミナーとなった。
はっしゃん
(投資家VTuber/個人投資家/決算書投資の達人)
サラリーマン時代に従業員持株会から投資を始め、投資歴は25年。リーマンショックなどで資産を減らすこともあったが、決算分析・理論株価・四季報・月次情報などを武器に30代で資産1億円を達成。2019年、資産3億円を突破した後、サラリーマンを卒業し、独立起業。
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