Twitterで話題、考えるOLの「がんばらないことをがんばる」日々
Twitterでの投稿が話題を呼んでいる考えるOLさんの初著書『がんばらないことをがんばるって決めた。』が刊行されたことを記念し、KADOKAWAセミナーにてオンラインファンミーティングを開催。イラストレーターのおさつさんをゲストに迎え、本書の担当編集者が聞き手となって書籍の制作秘話を伺った。
「今日も会社に行けなかった。まあいいか。生きてるし。」
2020年8月に投稿された考えるOLさんのツイートが15万以上の「いいね」を獲得した。彼女の等身大のツイートには10万人近いフォロワーが集い、ついがんばりすぎてしまう社会人の共感を呼んでいる。
今回のオンラインイベントでは、Twitterでの投稿と書き下ろしエピソードを集めた初書籍の制作秘話へとトークが広がり、女子トークならではの盛り上がりをみせた。
日常に疲れた人、元気がない人に新たな気付きを与える本
「考えるOL」というアカウントは2019年5月に創設された。華やかな業界への就職を諦め、平凡な一般企業で営業職に就いて数年。根が真面目でつい無理をしがちなOLが、仕事や日常にまつわる「がんばらない」ツイートを綴る。彼女の心を柔らかくする言葉の数々は、多くの若者から共感を集め、素性を明かさない匿名アカウントながらフォロワーは9万9千人以上にものぼっている。
その名のとおり普段は営業職のOLとして生活する、考えるOLさん。書籍を執筆したのも今回が初めてのことで、「自分のすべてを絞り出すかのように書いたら、自分が無意識下で大切にしている考え方に気付けたことが面白かった」と感想を語る。楽しみながら執筆できたと語る一方で、表現や読みやすさはかなり意識していた様子。「日常に疲れた方、元気がない方にもサクサク読める本にしたかった。一文が長くならないように注意した」というコメントには、読者を思いながら筆を運んでいたことがうかがえる。
Twitterでの投稿にはフォロワーから共感の声が多数寄せられる考えるOLさんだが、本書に関しては「共感だけでは終わらせたくなかった」という。「読者の気持ちに寄り添ったうえで、新たな気付きを提供できる内容を目指した。何度も読み返してもらいたい」と語り、ツイートとは違った書籍ならではの見どころを感じさせた。
タイトルの「がんばらないことをがんばる」に込められた意味とは?
本書で挿絵を担当した、イラストレーターのおさつさんも途中から合流。考えるOLさんの文章について、おさつさんは「ツイートを読んで共感した。本書の原稿も読んでいて非常に想像が膨らみやすかったので、自分の視点を交えて制作できた」と回想。中でも表紙になっている「アイスクリームを食べている、考えるOL」のイラストは、おさつさんも考えるOLさんもお気に入りなのだそうだ。カバーを外すとさらにたくさんの考えるOLさんが現れるので、書籍をお持ちの方はぜひこちらもお楽しみいただきたい。
続いて、本書の中で特に思い入れのあるエピソード、好きなエピソードを二人がそれぞれ紹介。考えるOLさんは今の自分にとって大切にしたい考え方として「夢にしがみつかなくてもちゃんと生きていけるよ」というエピソードを挙げた。社会に出て、当初の夢と異なる職に就いたときの思いを振り返り、「意図しなかった道を歩むことがこれからもあると思う。夢が叶わなくても自分の幸せはそばにある、という気持ちは忘れずに持ち続けたい」と述べた。
また、考えるOLさんはタイトルの言葉を引用し、「『がんばらないことをがんばる』という言葉が刺さる人は、すでにがんばっている人。がんばることは決して悪いことではないので、その姿勢を否定せずに、休んでみることを提案したいと思った」と解説。がんばっている人を応援したい、と書籍に込められた思いを語った。
考えるOL
20代の平凡なOLが「こんなはずじゃなかった人生」と向き合う記録と題してTwitter( @thinkingoodol)を開設。仕事や日常について、ありのままの自分を肯定する言葉が多くの支持を集めている。2020年8月の「今日も会社に行けなかった。まあいいか。生きてるし。」というつぶやきが15万以上のいいねを獲得。日々、心をやわらかくする言葉をつぶやいている。
おさつ
会社員として勤務しながら、プライベートで創作活動を行う。これまでに『ルビィ』(重松清/講談社文庫)の表紙や配信音楽のジャケット、グッズのイラストなどを手掛ける。主に日常の場面を切り取ったようなイラストを描き、ゆるいギャグが好きなことからコミカルな要素も含めてクスッと笑えるような内容で作品制作をしている。考えるOL初の著書『がんばらないことをがんばるって決めた。』ではイラストを担当。