ITパスポート

ITパスポートの難易度は?合格に必要な知識や勉強方法をプロが解説(2ページ目)

{ 目次 }

ITパスポート試験とは?
求められる知識
対象となる受験者は?
出題分野・試験方式について
ITパスポートを取得するメリット
ITの基礎が身に付く
他のIT系資格取得の足掛かりになる
就職・転職に活かせる
ITパスポート試験の難易度
合格率は高い?
合格基準
ITパスポート試験の勉強方法
必要な勉強時間は?
ITパスポートの教材は主に4つ
学習のコツ
ITパスポート受験に必要な基本情報
受験費用
試験の日程
試験会場
申込み方法
さまざまな学習教材を利用して、ぜひ受験に挑戦!

ITパスポート試験の勉強方法


 ここから、丸山さんがITパスポートの勉強法を紹介。書籍やパソコン、スマホなど、さまざまなツールを駆使した学習の工夫から、用語の覚え方や過去問の取り組み方まで、試験に合格するための必須ポイントを解説してもらいます。

必要な勉強時間は?

 「ITパスポートは、IT初心者であっても1カ月間勉強すれば十分にチャレンジできる国家試験だといわれています。学習を始める前に大切なことは、試験日を決定すること。ゴールを定めず独学で勉強を続けると、資格取得を先延ばしにしてしまいがちです。試験日までの日数を把握してから勉強を進めましょう。

 おすすめの勉強法は、通勤や通学時の電車の中でスマートフォンを使って『過去問道場』などのWeb問題集に取り組んだり、会社の昼休みや寝る前の時間を利用して学習テキストを進めたり、隙間時間をうまく活用した学習法です。まずは1日数分からでいいので、勉強の習慣づけを。最初はつらくても、慣れてくると集中して学習できるようになります」

ITパスポートの教材は主に4つ

 ITパスポートの勉強の仕方は、主に以下の4つが挙げられます。

①参考書・過去問題集
②通学講座・通信講座
③アプリ
④動画
 
 まず①の参考書について、物理的な書籍で勉強した方がパソコンやスマホでの学習に比べて眼精疲労の軽減や、集中力が増すことで理解度が深まるといった研究結果があります。
 また、パソコンでタイピングするよりも、物理的なノートへ記載する方が記憶の定着に有利であるという東京大学の発表もあります。

参考:紙の手帳の脳科学的効用について ~使用するメディアによって記憶力や脳活動に差~


 参考書とあわせて、過去問題集を活用するのもおすすめです。過去問題集で、これまでの出題傾向を把握することによって、本番の試験と似たような問題を反復できるため実際の試験の良い練習になります。

 丸山さんが手掛けた問題集もITパスポートの勉強に役立ちます。気になる方は、『この1冊で合格! 丸山紀代のITパスポート テキスト&問題集』をご確認ください。

 次に、②の通学講座・通信講座も効率良く学べる学習方法のひとつです。インターネットや参考書で調べても分からないことや、理解できていないことについて講師に直接質問ができるほか、以下のようなメリットもあります。

・問題集から用語集まで分かりやすいテキストが充実
・カリキュラムに沿って効率的に学習できる
・勉強仲間とつながればモチベーションを維持しやすい
・スキルの高い講師が難しい問題も分かりやすく解説してくれる
・個別カウンセリングによって勉強方法やスケジュール管理を相談できる

 通学・通信講座は、自分で計画を立てて学習するのが苦手な人にオススメな勉強法と言えるでしょう。

 スマホが普及した現代において、③のアプリでの勉強法も効果的といえます。移動中や隙間時間に手軽に勉強できる点が、アプリ学習の最大のメリットです。代表的な2つのスマホアプリとして以下を紹介します。

■ ITパスポート 全問解説(iPhone・Android)
 分野別ドリルと年度別過去問、全2219問題を収録。全問題解説付きで、気になる問題を後からまとめて復習できるチェック機能も搭載。無料です。

■ 動画&全問解説のITパスポートアプリ-ITすきま教室(iPhone・Android)
 無料でお試しが可能ですが、基本的には1,600円がかかります。用語を覚えるために活用できる「暗記カード」が特徴的。こちらのアプリも全問に対してそれぞれ解説がされています。

 最後に④の動画での学習ですが、テキストでは解説が難しいニュアンスへの理解が深まる点で、効率よく学ぶことができます。また、最近ではYouTubeなど無料で解説している動画も多いため、コストをかけずに学習できるほか、再生速度を1.25~2倍にできるため、学習時間を短縮できるメリットがあります。

 「念を押すかたちになりますが、用語の暗記だけでは通用しない試験です。テキストで基礎学習をしていて『内容がイメージしづらい』と思うときには、試験対策動画などの補助教材をうまく組み合わせて、正確に理解するように心掛けてください。私が配信している『カドセミ』でも、ITパスポートのレッスン動画をたくさん見られますので積極的に活用してください」

▲第1章のサンプル動画

 カドセミで配信している動画「【合格率9割のトップ講師が一発合格をナビゲート!】 丸山紀代のITパスポート“とことん合格レッスン”」では、受験者を一発合格へと導くためのポイントが充実。効率的な動画学習を合格への近道として、利用してみてください。

学習のコツ

 「ITパスポートの試験は、出題範囲を定めた『シラバス』が改訂されるたびに難易度が上がり、その場しのぎの暗記学習では通用しないのではないかと感じています。その理由は次の3点からです。

 1つ目は、『シラバスの改訂により削除される用語が少ないにもかかわらず、新しく加わるワードが増えている』。2つ目は『事例を使った設問が増加し、用語や過去問の丸暗記だけでは得点しづらい』。3つ目は『該当するものを1つではなく、複数選択する問題の増加』です。

 つまり、用語の意味や目的といった基礎知識に加え、それを正しく使いこなす応用力が求められているのです。これらを克服するために、次の6つのポイントを意識して学習をすすめていきましょう」

1.用語は正式名称でイメージをつかむ
 「『RPA』のようなアルファベット3、4文字の用語を苦手とする人は多いのではないでしょうか。ちなみに、RPAとは『Robotic Process Automation』の略で、直訳すると、『ロボットがプロセス(手順)を自動化すること』。ロボットと表現されていますが、実際の意味は『人間が行うソフトウェアによる作業を自動化させること』です。正式名称を理解すれば、アルファベットが単語と結びつき、RはRobotic(ロボット)という具体的な意味を持つ言葉となるためイメージしやすくなり、理解しながら覚えることができるのです」

2.暗記ではなく理解することを意識
 「最近の出題傾向としては、事例について問うような応用的な設問が増えています。そのうえ、同じ用語の説明であっても過去の設問とは表現を変えて出題されるため、単純な暗記では解けない問題も出てきています。

 たとえば前出のRPAは、PCで行うデータ入力のような定型的な作業の自動化をいいます。実際に作業を自動化させるためには、最初に人がその作業をパソコン上で実演して RPA に記憶させるプロセスが必要になります。このように、実際の利用シーンをイメージしながら理解していくと、事例を問うような応用的な問題にも対応できるでしょう」

3.全体像やグルーピングでまとめて理解
 「『プロトコル(通信の手順)はテクノロジ系(IT技術)のネットワークの用語』といった具合に、ある用語がどの分野に属するかを意識して学習しましょう。試験では具体的な意味を思い出せなくても、どの分野の用語なのかを理解していれば、解答群の中から答えを絞り込める可能性があります。

 また、同じような概念の用語は関連付けてグループとしてまとめて理解し、似たようなワードは違いを押さえましょう。たとえば、メールのプロトコルにはSMTP、POP、IMAPがあります。『SMTPはメールの送信用のプロトコルでPOPとIMAPはメールの受信用のプロトコル。その違いは、POPが受信したメールをPCで管理するのに対し、IMAPはサーバーで管理する点』というように、効率的に理解することができます」

4.テキストと過去問はバランスよく
 「テキストで基礎学習をしたら過去問で理解度を確認するといった、インプットとアウトプットをバランスよく行うメリハリを付けた学習が効果的。テキストを使って項目ごとに学習した内容は、その都度過去問を解いてチェックしましょう。正解するとモチベーションも上がり、学習を継続しやすいメリットがあります。

 過去問学習には、WEBで無料公開中の問題集『ITパスポート試験ドットコム』も活用してみましょう。直近3回分、できれば6回分を解いておき、8割以上の正解率を目指すことが理想です。テキストだけをすべて読み進めてから力試しのように一気に過去問にチャレンジする方法は、挫折してしまいがちなので避けましょう」

 また、公式サイトでも過去問が無料でダウンロードできます。

 >>公式サイトの過去問題集を見てみる

5.過去問で応用力と読解力をアップ
 「過去問に取り組む際には、正解の解説だけでなく、不正解の選択肢の解説もすべて読みましょう。1問につき4つの解答群から用語の知識を得られるため、効率的な学習ができます。

 それから、見たことのない問題でも設問や選択肢の言い回しに惑わされず、言い換えて読み解くように心掛けましょう。言い回しが難しいだけで実は知っている問題の可能性もあります。

 長文読解では、文章中のキーワードを見つけることが重要です。ところが、キーワードに飛びついて選択してみたものの引っかけの可能性もあるので、何を問われているのか、問題文をしっかり読むことが基本です」

6.難しい問題でも落ち込まない!
 「ITパスポート試験は全100問出題されますが、総合評価は92 問で行われます。実は、試験の中に8問だけ採点されない問題が紛れていて、これらは合否結果には一切影響を与えません。

 この8問は、ストラテジ系に3 問、マネジメント系に3問、テクノロジ系に2 問含まれ、今後出題する問題を検討する際の評価基準に使われます。これが、過去問と傾向が異なる難易度の高い問題になっているのです。試験で過去問では見たことのない難しい問題に遭遇しても、落ち込む必要はありません。気持ちを切り替えて、他の問題で正解率を上げていけば大丈夫です」

ITパスポート受験に必要な基本情報

 ここでは、ITパスポート試験の受験に必要な費用と、日程について解説します。

受験費用

 ITパスポート試験を受けるためには、7,500円(税込み)の受験料が必要です。
支払いが確認され領収書が発行されると、その後1年間は領収書のダウンロードが可能です。ただし、2回目以降に領収書をダウンロードする際は、再発行の扱いとなり領収書に「再発行」と表記されます。会社の福利厚生で資格取得の支援金が出る場合、忘れずに領収証を発行して申請するようにしましょう。

試験の日程

 ITパスポートの試験日時や空席の状況は、3ヶ月後まで確認できます。試験日ごとに受験できる人数が決まっているため、締切の直前に申し込みをした場合、空席がないというケースもあります。あらかじめ受験日が決定している方は、申し込みを早めに行いましょう。

 試験時間は120分で、午前、午後、夕方の時間帯に分かれて実施されています。毎月数回の試験日が設けられており、週末の金、土、日曜日に多く試験が行われています。遅刻による入室制限は無く、試験時間が終了する前に解答を終えた場合は、試験時間内でも途中で退出できます。

試験会場

 ITパスポート試験は全国47都道府県で行われており、自由に試験会場を選択可能です。
 また、ITパスポート試験はパソコンを使用する「CBT方式」となっています。CBT方式とは、Computer Based Testingの略語で、パソコンを使用した試験方法を意味します。画面に表示される問題に対し、4つの選択肢の中から1つを選択して回答する方式です。

 受験者のパソコン、及びパソコン周辺機器の持ち込みはできません。

申込み方法

 申し込み方法は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式サイトから申し込みを行います。申し込みの流れは、主に以下の手順となります。

・利用者IDとパスワードの登録
・試験日程の詳細を選択
・確認票の印刷

それぞれ解説します。

利用者IDとパスワードの登録
 はじめに、利用者IDを登録します。利用者IDは、受験の申込みや試験の結果を確認する際に必要なIDです。試験会場や受験日時の変更、領収書のダウンロードや過去に受験した結果内容の確認など、全て利用者IDが必要となります。登録の際には、メールアドレスが必要となりますので予め用意しておきましょう。

 次にパスワードを登録します。利用者ID登録時、仮のパスワードが発行されるので、初回ログイン後に自由にパスワードを変更します。

 また、一度利用者IDを登録している場合は、再登録の必要はありません。しかし、利用者ID登録後、受験をせず1年が経過した場合、または受験の申し込みをした試験日から1年経過した場合は、IDが無効となるため注意が必要です。

試験日程の詳細を選択
 次に、試験日時の詳細や試験会場、支払い方法を選んで申し込みを行います。支払い方法と受験申込時の時間によって、予約可能な試験日が異なるので注意しましょう。

 クレジットカード決済は、即時に決済可能で支払い確定後に座席が確保されます。最短で申し込みたい場合は、クレジットカード決済が便利でしょう。もし、クレジットカードを持っていない場合は、バウチャー決済かコンビニ決済のどちらかでの支払いとなります。

 バウチャー決済は、購入者IDを1つ取得すれば1枚~9,999枚まで一度に購入可能です。銀行振込で一括払いとなります。企業や学校など、団体で購入する際に便利です。しかし、バウチャーの購入者へ受験の成績が通知されるため同意が必要です。
 入金が確認された後に座席が確保されます。領収書は、チケットが発行されたあと購入者のみがダウンロード可能です。

 コンビニ決済は振込手数料として187円が必要で、入金後に座席が確保されます。領収書は、入金からおよそ1週間でダウンロードできるようになります。

確認票の印刷
 申し込み完了後、「確認票」が発行されると登録メールへお知らせが通知されます。確認票は、IPAの公式サイトの利用者ページからダウンロード可能です。試験会場や試験日、受験番号や確認コード、会場の地図案内などが表記されているので、内容をしっかり確認しましょう。

 試験当日、パソコン画面から利用者ID、受験番号や確認コードの入力を求められます。これら全てを記載できなければ受験できないため、確認票が発行されたら必ず印刷し、試験会場に持参しましょう。

 また、試験当日必ず持参するものは以下の3つとなります。

1. 確認票(※印刷できない場合は、受験番号、利用者ID、確認コードの控え)
2. 有効期限内の顔写真付き本人確認書類(パスポート、運転免許証など)
3. 試験中、机上に置けない物を収納するカバン

さまざまな学習教材を利用して、ぜひ受験に挑戦!

 情報化社会が加速度的に進む現代において、ITパスポートの試験合格によって得られる知識は、社会人として備えておきたい必須のものなのではないでしょうか。ITリテラシーが向上するだけでなく、財務や法務、経営戦略など、企業で働くうえで大切なビジネスの基礎知識を習得できるメリットは大きいはずです。

 試験の難易度は入門レベルといわれていますが、出題範囲が広く、暗記だけでは太刀打ちできない応用力も必要なので、油断は禁物。ただ、丸山さんがプロの視点からITパスポートの対策を詳しく解説してくださっているので、合格までの道のりも近づきそう。アドバイスをもとに、ITパスポート試験にトライして、合格を狙いましょう!

(取材/執筆 小林優子)

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