ライフハック

失敗も回り道も、人生の彩り ~クールでしなやかな働き方マインド~

注目書籍『未来の科学者たちへ』
KADOKAWA SEMINAR(C)

 綬褒章を受章し、歌人としても知られる京都大学名誉教授、永田和宏氏。生物学研究の大御所が、研究の醍醐味、数々の失敗や回り道、今どきの若者観を披露。サイエンスが面白くなる、仕事が楽しくなる、チャレンジできる自分になれる珠玉のメッセージとヒントをお届けします。

“おもしろい”を職業に

 みなさんは、科学者についてどんなイメージを持っていますか。

 非常に優秀かつ勤勉で、夜も寝ないで実験している、でしょうか。
 特殊な頭脳の持ち主、ちょっと変わった人、でしょうか。

 著者の大隅良典氏、永田和宏氏は「そんなステレオタイプな思い込みを一新してほしい」
との思いで本書をまとめあげました。

 教養や専門知識が研究に必要なのはもちろんですが、大隅氏は「科学者にはおもしろがる能力が大切」と説きます。

 「いま、大学にいて感じるのは、いまの学生たちは『おもしろいことをやりたい』ではなく、『役に立つことをやらなくては』と信じ込んでいるか、そう口にします。私が『そんなことないよ』と言っても理解してもらえません。

 小柴昌俊さんはノーベル賞を受賞したときに、『その研究は何の役に立つのですか』という記者の質問に、『何の役にも立ちません』と言われて話題になりました。いまの大学の研究者の中にそう言い切れる人はあまりいないかもしれません。」

 「役に立つかどうかわからないけど、やり続ける」研究の原点がここにあるのです。

エリート科学者の非効率な人生

 本書は生物学の専門家として研究に携わったお二人による、仮説→実験→評価→結論(新しい発見)のプロセスを丁寧に記述、研究の醍醐味を臨場感あふれる筆致で伝えています。

 これに加えて、著者自身の半生を振り返りながら、サイエンスとの出会い、研究者を目指すことになったきっかけ、研究者になるまでの紆余曲折、日々の生活や家族についても言及。これまでに経験した数々の失敗や落ちこぼれ、回り道も余すことなく公開しています。

 化学を専攻するつもりだったのに授業が面白いと思えず、将来について大いに悩んだこと。学園紛争、短歌との出会い、恋愛の“三重苦”によって、勉学どころでなくなってしまったこと。学生結婚をしたこと。大学では理論物理学を専攻していたのに、就職後はバイオの研究に回されたこと。

 東大卒の栄誉教授、京大卒の名誉教授であっても、順風満帆の人生、エリートコースまっしぐら、ではなかったのです。

失敗も回り道も、人生の彩り

 様々な成功体験と失敗体験を経て、今のポジションにいる両氏。

 自身の若い頃を振り返り、今の若い世代の「ことさらに効率性を求め、失敗を回避しようとする」風潮を気にかけながら、「もっと回り道をして欲しい」、「失敗からしっかり学んで欲しい」と、エールを送っています。

【大隅氏】
 役に立つことをやらなくてはという発想と地続きだと思いますが、一度も失敗せずに進まなくては、と考える風潮も心配です。講演会などで中高生に会うことがあるのですが、「どうしたら失敗しないで研究者になれますか」「失敗したときにはどうしますか」という質問が毎回出ますね。やる前から、失敗したときのことが気がかりなんですね。

【永田氏】
 失敗をする、イコール、その人がダメというわけではないでしょう。どれだけ失敗から学んだかが、その後の成功に正しく反映されていくと感じます。失敗したくないことの裏側には、早く成果を出したい、早く教授になりたい、なんていう焦りがあるのかもしれません。

【大隅氏】
 人生100年になったんだから、もっともっと回り道をして欲しいです。22歳で大学院に入る、というのは日本だけです。アメリカやヨーロッパでは30歳を過ぎてから大学院に入る人もとても多いです。回り道をして「やりたいな」と思って大学院に入ってきます。そういう回り道があるからこそ、サイエンスの世界も豊かになるんです。回り道は実は回り道ではなかった、ということですよね。

*    *    *    *    *

この他にも、
・おもしろい方を選択すること
・その時その時でベストを尽くすこと
・安全志向の殻を破ること
・「答える」能力に加えて「問う」能力を養うこと
・他人の仕事をおもしろがること

など、研究の第一線で活躍してきた著者ならではの金言、人生訓がズラリ。

 科学者を目指す人が読めば、偉大な先輩による人生の指南書。ビジネスパーソンを目指す人が読めば、新たな切り口でビジネスマインドを高める啓発書。これから社会に出る人はもちろん、すでに社会人生活をスタートしている人にとっても気づける、学べる、重要な示唆に富んだ一冊です。

<書籍情報>
未来の科学者たちへ

著者 大隅 良典著者 永田 和宏

この世の理を見出す科学研究の魅力を、第一線を走ってきた二人が伝える!
(目次)
序章 こんなに楽しい職業はない(対談)

第1部 研究者の醍醐味--世界で自分だけが知っている
第一章 研究は「おもろい」から(永田)
第二章 一番乗りよりも誰もやっていない新しいことを(大隅)

第2部 効率化し高速化した現代で
第三章 待つことが苦手になった私たち(永田)
第四章 安全志向の殻を破る(大隅)

第3部 「役に立つ」の呪縛から飛び立とう
第五章 「解く」ではなく「問う」を(永田)
第六章 科学を文化に(大隅)

終章(対談)

>>詳細はコチラ

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