昭和史

世界を動かす、歴史を創る!日本式ダイナミズムの真実

注目書籍『昭和と日本人 失敗の本質』
KADOKAWA SEMINAR(C)

 自ら歴史探偵を名乗り、150冊を越える著書の出版やテレビ出演、対談を通じて、歴史を学ぶ面白さを伝えている「昭和史の語り部」半藤一利氏。先の大戦で日本が犯した過ちとその背景、日本人の本質に斬り込みながら、歴史を学ぶ楽しさ、大切さを教示します。

“国家の転機”のリアルな話

 本書は著者自身の戦争体験と、当時の新聞や論壇誌、国連調査団の報告書など、膨大な資料を引用・紹介しながら、日本の満州進出や国際連盟の脱退、国防と安全保障に関する世論とメディア報道、当時の世界情勢や米ソの対日戦略など様々な視点から、詳細かつ丁寧な評論を進めていきます。

 五・一五事件や張作霖爆殺、ノモンハン事件など、歴史の教科書に出てくるメジャーなテーマはもちろん、「開戦の詔書」をめぐる首相と内閣の根回しや裏工作など、国家の重鎮の権謀術数と人間模様もリアルに描写。「最後の最後まで敗戦を認めなかった」終戦直前の御前会議の大激論も生々しく取り上げています。

 「まだ戦争は終わっておらん。これからだ。海上護衛総隊司令部はケシカラン。戦闘行為を直ちにやめろ、という命令を早々に出してしまったじゃないか。かかる勝手な命令は許されない。ただちに撤回命令を出せ」

 「あれは玉音放送で終戦の詔書が出されたから、私がこの手で起草したものだ。天皇陛下が戦争をおやめになったんだから、軍隊がそれに従って戦闘行為を停止するのは当然ではないか」

 「天皇が戦争をやめるということと、大元帥が戦闘行為をやめることとは、まったく別だ。大元帥の命令はまだ出ていないッ」

 「大元帥というのは天皇陛下の家来なんだ。家来が主君の命令に従うのは当然ではないか。そうではないかッ」

 戦争をやめるということが、いかに大事業であったことか。

“歴史はつまらない”と感じるワケ

 本書で興味深いのは、歴史教育と子どもたちの現状について、一石を投じている点。

 「歴史というものを連綿たる人間の営みととらえず、切り抜き細工のように切りとって、経済的観点とか、階級闘争の視点でみようとすれば、歴史がつまらなくなるのは目にみえている。
社会科学的側面は歴史の一面にすぎない。

 歴史または現実を動かすもっとも重要な要因である人間の心理や精神が、社会科学では無視されている。それが強調されていけば、歴史から生きた人間の姿は消え、“人懐っこさ”や“あたたかさ”は失われてしまう。つまりそれは人間の歴史ではなくなる。

 社会科教科書で「自ら調べ自ら考えている」はずのいまの子供たちは、実のところ大人たちがあらかじめ設けてある「結論」へ達するよう演技させられているのではないか。実地ではなく、机上の社会検索である。それではかえって、「自ら調べ自ら考える」ことの困難と、それだけに味わえる楽しさとを、子供たちから奪ってしまっていることになる。」

日本人なら知っておきたい“歴史の原点”

 歴史を学ぶ面白さ、素晴らしさを知り尽くした半藤一利氏。曰く、「底の底が知れなくて、調べれば調べるほど面白い。推理小説を読んだり考えたりする以上に、面白いと思う。」とのこと。

 著者は語ります。「歴史とは比類なく巨大で多様な物語である。そこには人間の英知や愚昧、勇気や卑劣、善意と強欲のすべてが書きつらねられている。

 人間は歴史の流れに漂って生きることを教え、その巨大な力の一方に変わらない共通の人間性、人間を律する不易の道徳というものがあることを、われわれに教えてくれる。歴史を学ぶことで、人間とは何かを知り、人生にたいする英知を身につけ、よりよく生きる道を探りあてることができる。

 わたくしがいいたいのは、歴史を学び知ることがどんなに面白いことであるか、についてだけである。歴史好きのひとりとして、この面白さを若いひとたちに何とか知らせてやりたいと、思うばかりなのである。」

 世の中がめまぐるしく変化する中、先の大戦の失敗を繰り返すことなく次世代に素晴らしい世界を残すために、昭和という時代と日本人の営みについて、しっかり理解しておく必要がありそうです。

<書籍紹介>
昭和と日本人 失敗の本質

著者 半藤 一利

「昭和史の語り部」が遺した言葉

昭和史の語り部・半藤一利が自身の戦争体験を交え、第二次世界大戦を通して日本がおかした失敗を検討する。各紙による国際連盟脱退支持、陸軍が不問にしたノモンハン事件大敗、大本営の国際感覚の欠如……山のような史料の背後から日本が陥ったポイントが浮かびあがってくる。「歴史探偵」の原点が垣間見える著者初期の原稿の数々。いま読み直したい傑作が待望の復刊!

>>詳細はコチラ

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