自己肯定感を高めるために意識すべき行動をプロが解説!
自信や勇気、チャレンジ精神などの原動力にもなる「自己肯定感」。最近では、子育てや保育・教育、そしてビジネスなど幅広い分野で注目されていますが、どのように向上させたらいいか分からない人も多いと思います。そこで今回は、自己肯定感の高め方について考えていきましょう。
{ 目次 }
- 自己肯定感の意味と自己肯定感を高めるメリット
- 自己肯定感とは?
- 自己肯定感を高めるメリット
- 自己肯定感が高い人/低い人の特徴
- 自己肯定感が高い人の特徴
- 自己肯定感が低い人の特徴
- 自己肯定感の高め方
- 自己肯定感を10の項目でチェック!
- 自己肯定感を高めるコツ
- 自己肯定感が低い人への注意点
- 自己肯定感が低くなる原因
- 自己肯定感が低い時に実践したほうがいいこと
- 自己肯定感を高めてより充実した毎日を送ろう
コミュニケーションの専門家でもある一般社団法人日本聴き方協会代表理事・松橋良紀さんに、自己肯定感を高めるために意識すべきことを教えてもらいました。
監修者・松橋良紀さんプロフィール
「人見知りのための沈黙営業術」(角川フォレスタ刊)など、約30冊の著書の累計売上部数は40万部を突破。営業マンとして活躍する傍ら、米国NLP協会NLPトレーナー、NLPマスタープラクティショナーの資格を取得し、一般向けの自己啓発講師としても活動。2007年に研修会社を設立。営業時代に経験した1万件を超える対面営業と3万人以上とのカウンセリング、講師として培われた自信のつくり方や聴く技術などをもとに、「対人関係で悩む人を世界からゼロにする!」をビジョンに掲げ、奮闘中。
>>松橋さんの過去講演など詳細はコチラ
自己肯定感の意味と自己肯定感を高めるメリット
自己肯定感とは?
自己肯定感を分かりやすく表現すると、「何ごとにも揺らぐことなく、自分に自信を持って生きるための心構え」です。「自分を信じろ」という励ましのフレーズを映画やドラマで耳にすることがありますが、自己肯定感の高い人は自分自身を信じることで、さまざまなことにチャレンジすることができます。
一方、自己肯定感の低い人は、信じるに値する何かが自分の中にあるとは到底思えず、周囲からの励ましやアドバイスを素直に受け入れられない傾向があります。
自己肯定感を高めるメリット
自分の成長を後押しし、充実した人生を過ごせるようになる
自己肯定感を高める最大のメリットは「充実した人生を過ごせること」です。興味を持ったことに対して積極的に関わり、それを通して自己の成長につなげていくことができます。失敗したとしても、傷付いたり落ち込んだりする時間を減らし、次のステップへすぐに進むことも可能となります。こうした思考によって、日々充実感を抱きながら自分の人生を生きることができます。
精神的に余裕が生まれ、他者への気づかいが生まれる
また、他者への気づかいが生まれることもメリットの一つです。自己肯定感が高い人は精神的に余裕があるので、例えば、プレゼンの場面では「失敗して笑われたら嫌だな」というネガティブな思考ではなく、「自分が話したいことをきちんと伝えるためにも、大きな声でゆっくり話そう」といった他者を思いやる思考が生まれます。あなたのその姿勢は周囲によい影響を与え、さらに自己肯定感が高まることでしょう。そうしたポジティブなサイクルが、あなたの人生を好転させてくれます。
「自己肯定感が高くなると、幸福感がアップし、心配やイライラが減ります。その上、自分の短所も受け止められるようになるので、他者の失敗や欠点に対してもおおらかになることができます。つまり、自己肯定感の向上は、自分自身だけでなく周囲の人にとってもメリットだらけなのです」(松橋さん※以下同)
自己肯定感が高い人/低い人の特徴
自己肯定感が「高い人」と「低い人」には、どのような特徴があるのでしょうか。例えば、飲み会でお酒が入るとかつて仕事で挙げた功績を延々と語る上司がいたとしたら、その人の自己肯定感はかなり低いと言えます。なぜなら、本当に自信のある人は、自分がどれだけ頑張ったのかは自分自身だけが覚えていればいいと考える傾向があるからです。
このように、自己肯定感の高低による性格の違いを紹介していきます。
自己肯定感が高い人の特徴
1.自分の弱さを受け入れている
自己肯定感が高い人は、自分の弱さもひっくるめて「自分」だと認識しています。そのため、虚勢を張ったり、他者を引きずり下ろすために悪口を言いふらしたりすることはありません。あくまでも自然体で、必要とあらば自分の失敗談も笑顔で語り、周囲を勇気づけることができます。
2.人の欠点を認めることができる
自分の弱さを受け入れている人は他者の弱さに寛容的であるため、人の欠点をありのまま認めることができます。そのため、自己肯定感が高い人は他者に抱く悪感情に心を乱されることが少なくなります。
3.自分の価値観がしっかりしているので堂々と振る舞える
家族やプライベートな時間を大切にするなど、自分の人生で何を最優先にしたいのかをしっかり認識していることが多いのが、自己肯定感が高い人の特徴です。周囲からさまざまな横やりを入れられてもブレることのない信念を持ち合わせているために、堂々とした立ち居振る舞いと自信に満ちた雰囲気をかもし出します。
4.自分にはない価値観や視点を学ぼうとする
自己肯定感の高い人は承認欲求を自分で満たすことができるため、精神的な余裕があります。そのため、他者の話をしっかり聞き、そこから自分にはない新たな価値観や視点を学ぼうという前向きさも持ち合わせています。
自己肯定感が低い人の特徴
1.常に不満を抱えている
欠点も含めた自分を受け入れることができない人は、常に心に不満を抱えがち。そのため、前向きで明るい笑顔を振りまいている人を見ると「自分はこんなに我慢しているのに!」と、ネガティブな感情に支配されます。
2.ものごとを自虐的に捉えがち
「何をするにも自信がない」「失敗するに決まっているから時間の無駄」「身の程はわきまえている」こんな風に自分を卑下し、自虐的にものごとを捉えてしまいがちなのが、自己肯定感の低い人の特徴の一つ。すべてにおいて諦めていれば傷付くことも失敗することもありませんが、自ら成長する機会を手放しているのと同じことです。
3.よく反省している
寝る前などにその日に起きたことを思い返しては「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」などと反省することがありますが、これは自己肯定感の低い人がよくやっている習慣の一つ。ネガティブな経験や感情を何度も思い返すことで、自ら自信を奪っているのです。
4.失敗した過去を何度も思い返しては落ち込む
最近起きたネガティブな感情を繰り返す「反省」に加え、遠い過去に起きた失敗を思い出すことも、自己肯定感の低さゆえの思考といえます。起きたことを過去のものとして、そこから何か学びを得るのではなく、「失敗した」「ああすれば良かった」という後悔を繰り返すことで、ますます自信を失ってしまいます。
「自己肯定感の高い人と低い人を比較することで、それぞれの思考のクセが分かったと思います。自分の弱さを受け入れているか否かが大きな違いです。子ども時代に大きな失敗をしても『よく頑張ったね』『この経験を活かしていこう』と、ありのままの自分を認め、愛してもらったという実感を得ている人は、どんな時でも前向きです。
反対に、子ども時代に他者と比較されて『どうしてできないの!』と怒られたり、『やったことを反省しなさい!』と失敗を幾度となく思い返すよう強制されると、自己肯定感は失われていきます。
でも、心配はいりません。幼い頃に身についた思考のクセを取り除くことができれば、何歳からでも自己肯定感を高めることは可能なのです」
自己肯定感の高め方
自己肯定感が低いと、自分に自信を持つことができない。この事実を認識できたのなら、あとは自己肯定感を高めるための方法を日常に取り入れるだけです。最近では、その方法の一つとして「アドラー心理学」が注目され、それに関連したさまざまな本が出版されていますが、そのすべてを読むのは大変なこと。そこで、松橋さんから自己肯定感を高めるためのコツをお聞きしました。
自己肯定感を10の項目でチェック!
まずは以下の項目に自分がどれくらい当てはまるかどうかをチェックし、今の自分の自己肯定感がどれくらい高いのか確かめてみましょう。
□「どうせ自分なんか…」といった自虐的な思考をしがち
□ネガティブな気持ちになった時は、とことん落ち込む
□子どもの頃に、周囲から欠点を指摘されたことを明確に覚えている
□寝る前は、自分の失敗の原因を追及する反省タイムに使っている
□人に否定されたり、批判されることが怖い
□「すみません」が口癖になっている
□他人への感謝の気持ちが湧いてこない
□自分の弱さはもちろん、他人の欠点にも批判的だ
□褒め言葉に対しても、素直に「ありがとう」と言えない
□自分を心から「好き」と思ったことがない
上記10項目のうち、いくつ当てはまりましたか? 該当する項目が多かった人は、それだけ自己肯定が低いといえます。
1)全く当てはまらなかった人---自己肯定が高い
2)2個未満の人ーーー自信が少し足りない程度
3)3個以上の人ーーー少し自己肯定が低い傾向にある
4)5個以上の人ーーーかなり自己肯定が低いレベル
5)8個以上の人ーーー医療機関やカウンセラーの診断が必要な可能性があります
自己肯定感を高めるコツ
自分の自己肯定感が高いのか、あるいは低いのかが分かってきたのではないでしょうか。ここからは、松橋さんが教えてくれた、自己肯定感を高めるための簡単な方法を紹介します。
「嬉しかったこと」リストの作成
今までの人生で体験してきた“嬉しかったこと”を書き出してみましょう。自己肯定感が低い場合は自分に求めるレベルが厳しいために、「これくらいの小さなことで“嬉しい”と感じる自分が許せない」と、“嬉しかったこと”を見つけることが困難な場合があります。その反面、悲しかったことや頭に来たことは鮮明に覚えている傾向が強いのが特徴です。
「思い出したポジティブ体験は、スマートフォンのメモ帳アプリに書き残しておきましょう。嫌なことやつらいことがあった時はそのメモを読み返し、幸せだった記憶を強化し、ネガティブな感情をいち早く忘れることが自己肯定感向上のための秘訣となります」
ささいなことでも笑ってみたり、前向きな言葉を口に出す
人間の身体と心は密接な関係にあります。これを応用して、ささいなことに対しても笑顔を作ってみましょう。そうすることで、失いそうな自信を取り戻すことができるはず。また、「ありがとう」「嬉しい」「絶対うまくいく」といった前向きな言葉を口に出すことも効果的です。顔や身体、言葉を使って、自分の感情をポジティブにコントロールしてみましょう。
髪型やファッションなど見た目を変える
華やかで明るい色合いのファッションや、自分の個性を引き立たせてくれるヘアスタイルなどは、気持ちを前向きにしてくれます。もし、今までモノトーンのファストファッションがメインだったとしたら、思い切ってこれまで買わなかったような高価格帯のブランド品を身につけたり、上質な本革の靴をオーダーするのもあり。白髪が目立つようであれば、隠すように染めるのもいいですが、あえて明るいカラーリングでなじませてしまうのもおすすめです。
「自分にお金をかけるということは、自分を大事にしていることに他なりません。自分を大切にできる人は他者から尊重され、そこから自己肯定感が向上してくるはずです」
自己肯定感が低い人への注意点
ここまで自己肯定感を向上させるためのさまざまなコツをご紹介してきましたが、やはり、自己肯定感が低くなった原因を探り、自分自身と向き合うことは欠かせません。ここからは、自己肯定感が低くなる主な原因をご紹介します。
自己肯定感が低くなる原因
過去の経験にとらわれている
子どもの頃に「お前はダメだ」「つまらない」「余計なことを言うな」などといった言葉を掛けられた経験がある人は多いと思います。自己肯定感が低い人は、その際に言われたことを自分の評価につなげてしまったまま成長した可能性があります。しかし、今のあなたはもう子どもではありません。過去の経験は捨て、今の価値基準で自分自身を見つめることで、自分に自信を取り戻すことが可能となります。
欠点にフォーカスを当ててしまう
人間なら短所は誰しもあるもの。その短所にばかり目を向けてしまうと自信を失い、自己肯定感は低くなる一方です。人間には短所と同じように長所が必ずあります。例えば、「落ち着きがない」と表現されるような性格も、別の視点で捉えると「行動力がある」「常にさまざまなことに意識が向いている」という表現も可能になります。常に自分という人間を多角的に捉え、欠点と思っていた性格をポジティブな表現に置き換える工夫をすることが、自己肯定感の向上に役立ちます。
自己肯定感が低い時に実践したほうがいいこと
何か失敗をしたことで「自分なんか価値のない人間だ」「何をやってもうまくいく気がしない」と思うこともあるでしょう。ですが、その際に以下の点に注意しておくことで、いち早くネガティブな感情から脱出できるはず。自己肯定感が低くなりそうな時に活用したいコツを紹介します。
「反省」はしない
「反省」と称して失敗した経験を繰り返し思い出し、忘れられない記憶として定着させてしまうことは、最も自己肯定感の低下につながる思考です。起きてしまったことはもう取り返しがつかないと気持ちを切り替え、これからできることに意識を集中させましょう。過去は変えられませんが、未来はあなたの行動次第でいかようにも変化していきます。
周囲への感謝を口にする
自己肯定感が低い人は不安や怒りなどネガティブな感情にとらわれると、無意識に周囲の人をないがしろにしてしまうことも。不安や怒りといった感情で頭がいっぱいになっている時ほど、周囲にいる人たちが今まで自分にかけてくれた優しい言葉や、向けてくれた笑顔を思い返してみてください。そうすることで、自ずと気持ちが前向きになるはずです。
「嬉しかったこと」リストを読み返す
自己肯定感低下の際に最も役立つものが、「自己肯定感を高めるコツ」のパートで紹介した「嬉しかったこと」リスト。「嬉しかったこと」リストを読み返すことで、ポジティブな感情を即座に取り戻すことができるはずです。
自己肯定感を高めてより充実した毎日を送ろう
人生を前向きに過ごし、チャンスをつかむために必要となる自己肯定感。子ども時代のネガティブな思い込みを引きずったまま、「自分はダメな奴だ」「何をしてもうまくいかないから努力はしない」「傷付くくらいなら現状維持で構わない」といった、諦めの気持ちで貴重な時間を無駄にするのは、もう終わりにしましょう。松橋さんが教えてくれた考え方のコツを日常に取り入れ、自信に満ちあふれ、充実した日々を過ごしてください。
(取材/執筆 中村実香)