自己啓発とは? 意味や目的、おすすめの方法をプロが徹底解説!
ビジネスシーンやセミナーでよく耳にする「自己啓発」。本やセミナーなどで自己啓発を行う人もいますが、その意味や実践方法などはあまり知られていないところ。 そこで今回は、一般社団法人日本聴き方協会代表理事・松橋良紀さんに自己啓発の意味や行うメリット、方法やコツなどを教えてもらいました。
{ 目次 }
- 自己啓発の意味や目的
- 自己啓発とは?
- 自己啓発を行うメリット
- 自己啓発を行うための準備
- 1.目標と課題を設定する
- 2.「なりたい自分」を明確にイメージする
- 3.情報を収集する
- 自己啓発を実践する
- 自己啓発の本を読む
- 講演会・勉強会に参加する
- セミナーに参加する
- 「なりたい自分」メモを見返してみる
- 子どものころの自分に戻ってみる
- 自己啓発を行う際の注意点
- 自分自身を否定しない
- 他人に自己啓発を強制しない
- 日々の生活や周囲の人を大切にすること
- 「自己啓発」はあなたの人生に大きな転換点をもたらす
監修者・松橋良紀さんプロフィール
「人見知りのための沈黙営業術」(角川フォレスタ刊)など、約30冊の著書の累計売上部数は40万部を突破。営業マンとして活躍する傍ら、米国NLP協会NLPトレーナー、NLPマスタープラクティショナーの資格を取得し、一般向けの自己啓発講師としても活動。2007年に研修会社を設立。営業時代に経験した1万件を超える対面営業と3万人以上とのカウンセリング、講師として培われた自信のつくり方や聴く技術などをもとに、「対人関係で悩む人を世界からゼロにする!」をビジョンに掲げ、奮闘中。
>>松橋さんの過去講演など詳細はコチラ
自己啓発の意味や目的
自己啓発とは?
そもそも、自己啓発とはどのようなものなのでしょうか。自己啓発を実践する前に、まずはその意味や目的などをしっかり理解しましょう。
「自己啓発を分かりやすく言うと、成功者の考え方や価値観などを学ぶということです。そのために、まずは自分がどういう気質でどういうものを好んで、どんな人生を送りたいのか、どういう価値観を大事にしたいのかといったところを明確にするために、自己分析を行います。もし『なりたい自分』像があいまいな場合でも、自分を見つめ直すなかでだんだんと見えてくるので安心してください」(松橋さん※以下同)
自己啓発というと主にビジネスシーンで使われることの多い概念ですが、「なりたい自分になる」「より良い自分になる」という目的で行われるため、プライベートでも大いに役立ちます。
自己啓発を行うメリット
自分を客観視することで自らの欠点の原因が見つかる
先ほど述べた通り、自己啓発を行う上で欠かせないことは自己分析です。そのためには、自分を客観視しなければなりません。
「自分を客観的に見ることによって、『どうして自分は仕事ができないのだろう』『いつも注意されてばかりでつらい』といった気持ちを抱えている人はその原因が見つかるかもしれません。
はじめはネガティブな感情や自分自身の欠点と向き合うことに抵抗を感じるかもしれません。ですが、自分の人生を変えるチャンスと捉えて、前向きに取り組んでみてください」
有意義な時間の使い方ができる
さらなるメリットとして、時間を有効活用できるということも挙げられます。
「例えば、仕事を終えて帰宅する時間を『知識不足で接客したために必要な情報が提供できなかった』といった反省タイムに使っていたとします。そんな方でも、自己啓発を行うことによって気持ちを上手に切り変えられるようになります。そして、今まで反省タイムに使っていた時間を、接客スキルを指南するビジネス書を読むなどの有意義な時間に使えるようになり、それが仕事の成果へとつながります」
対人スキルが上がり、人付き合いやビジネスでのコミュニケーションが円滑になる
また、人と接することがこれまで以上に楽しくなることも大きなポイントです。
「自己啓発によって得られるものの一つに、コミュニケーションスキルがあります。これによって、人付き合いがうまくなるだけでなく、例えばプレゼンテーションの場でも円滑にコミュニケーションが取れるなど、努力の結果が確実な手応えとして感じられるはずです。
これらの体験が、さらなる自信につながり、充実した毎日を過ごせるようになるでしょう」
自己啓発を行うための準備
自己啓発の基本的な意味やメリットを学んだ後は、自己啓発を実践するための準備をしましょう。ここでは自己啓発を行う前に必要なことを順を追って説明します。
1.目標と課題を設定する
「まずは目標を具体化していきましょう。目標を決める際に大切になるのは『否定的な目標にしない』こと。例えば『給料を減らしたくない』『太りたくない』『失敗したくない』といった『~したくない』という否定的な目標にしないことが重要です。『給料を減らしたくない』という目標を立ててしまうと、給料が減った状態のイメージが潜在意識にインストールされてしまい、目標の達成からあなたを遠ざけてしまいます。同じ目標でも『給料を上げる』『痩せる』『成功する』といった肯定的な目標を定めましょう。
また、期日や金額など具体的な数値設定も必須です。『3年以内に年収100万円アップを目指す』『5年以内に独立して、年収1000万円のフリーランサーになる』といった数字を明確に設定しましょう。そうすることで、夢が目標に変わります」
2.「なりたい自分」を明確にイメージする
「自分が望む状態やなりたい自分など、目標を設定したら、次にそれを詳細に書き出しましょう。紙に書き出したり、スマートフォンのメモ帳に書き留めていくなど手軽な方法で大丈夫です。脳科学的には、紙に書き出した方が潜在意識に刻まれる効果が何倍も高いことが分かっているのでおすすめです。
目標達成には、イメージ法の習得がおすすめです。イメージ法には、『視覚イメージ』『聴覚イメージ』『身体感覚イメージ』の3つの種類があります。
1.視覚イメージ:
なりたい自分になった姿は、どのように見えていますか? どんな表情をして、どんな姿勢をしていますか? 夢がかなって、喜びを隠しきれないくらいの笑顔で幸せを感じているかもしれません。そういった目に見えるものを想像することが『視覚イメージ』です。
2.聴覚イメージ:
なりたい自分になった時、どんな言葉を聞いていますか? 誰がどんな言葉をかけてくれていますか? あなた自身はどんな言葉を口にしていますか? 誰にどんな感謝の言葉を伝えていますか? 自分が発する、あるいはかけられる言葉を想像することが『聴覚イメージ』です。
3.身体感覚イメージ:
そして身体の感覚はどうですか? 身体のどこに、どんな感覚を得られていますか? 身体の変化を想像することが『身体感覚イメージ』です。
この『視覚イメージ』『聴覚イメージ』『身体感覚イメージ』の3つのイメージができた瞬間に、あなたの望みが達成されたイメージが潜在意識に刻まれます。あとは、潜在意識に任せるだけです。逆に、この3つがイメージできない場合は目標の見直しが必要かもしれません」
3.情報を収集する
「目標や課題を設定したら、次はそれを達成するために必要な情報を徹底的にリサーチしましょう。
『将来独立したい』という相談は多いのですが、同業者のサイトをいくつ見たかと聞くと、3社くらいと答える人が多いです。ネットで同業者を検索する際は1ページだけで終えず、それ以降のページまでチェックしましょう。
それだけでなく、実際に独立した人に話を聞きに行くなど、自分の目や耳で確かめてみることもおすすめします。その過程で得た情報や知識の蓄積が、『なりたい自分』になれた未来を具体的にイメージする際に重要となります。
自己啓発を実践する
これで準備は整いました。いよいよ自己啓発にチャレンジする時です。具体的に何をするのか分からない方に向けて、おすすめの自己啓発の方法とポイントをご紹介します。
自己啓発の本を読む
どんな方でも手軽に始められるのは、自己啓発の本を読むことです。例えば、「営業コンサルとして独立して月収100万円を超えたい」という目標があるのなら、営業に関する書籍をできるだけ多く読むことをおすすめしますと松橋さんは言います。
「私は営業の専門家として独立した当初、100冊以上の営業本や心理本を買い集めました。目指す分野の本をそのくらい読んだとしたら、かなりの知識が身に付くはずです。
書店に足を運ぶ時間がなかなか作れない人には、スマートフォンでも読むことができる電子書籍がおすすめです。ラインを引いたり付箋を貼ったりすることができて、電子書籍は見返す時にとても便利です。紙でも電子書籍でも、印象に残ったことはメモ帳に書き出し、隙間時間に目を通すことで、今までとは違う視点や考え方が自分の中に根付いていきます」
講演会・勉強会に参加する
本を読んで気に入った著者がいたら、ホームページで講演会や勉強会が開催されていないかをチェックしましょう。参加することによって、本に書かれていること以上の知識を得る機会になります。
「本を読むだけでなく、より多くのことを知りたいと考えるなら、講演会や勉強会への参加をおすすめします。また、『いきなり本格的なセミナーには参加しづらい』や『一人ではちょっと緊張する』と思う人は、まずは講演会や勉強会から参加してみるといいでしょう。
日本各地やオンラインでも開催されているもの、また、説明会的なものだと時間や価格もセミナーと比べて抑えられることが多ので、自己啓発の入門者にはぴったりです」
セミナーに参加する
さらに本格的に自己啓発を行いたい人は、セミナーへの参加がおすすめ。
「セミナーに参加する最大のメリットは、自分だけでは到達できない『気付き』を得られることです。他のセミナー参加者の視点を通した解釈や気付きから、自分の深い部分に変化が起こることがとても多いです。自分の枠組みを超えて、俯瞰した視点での気付きが得られるのがセミナーの最大の魅力です。
セミナーで基本的なことを学んだけれど、個別の問題解決をどうしたらいいのか分からない場合には、講師と1対1のコンサルティングやカウンセリングを受けるという組み合わせがとても有効的です。
また、同じセミナーに通う仲間たちとの交流も重要なポイントです。同じ感性でつながった仲間との時間は、人生をとても豊かにしてくれます」
「なりたい自分」メモを見返してみる
「自己啓発を始めた最初のうちはうまくいかなかったり、仕事が忙しくてモチベーションが低下することもあるかもしれません。その時は、最初に書き出した『なりたい自分』メモを見返してみましょう。目標に向かって努力することを決意した過去の自分が、心強い味方になってくれるはずです」
子どものころの自分に戻ってみる
「自己啓発の途中で目標を変えようと思ったり、見失ったりすることもあるかもしれません。
目標を再設定することが難しい時は、子どものころの自分に戻ってみてください。当時のことを思い出しながら、何が楽しかったのか、どんなことに情熱を傾けていたかなどを書き出してみましょう。自分自身が本当に望むものを見つけ出す手がかりが見えてきます」
自己啓発を行う際の注意点
自己啓発を実践する際に気を付けなければならないことがあります。ここでは、自己啓発を行う上での注意点を紹介します。
自分自身を否定しない
「『なりたい自分』になることが最終到達点とする自己啓発ですが、その過程で自分の長所と同様に、短所にも向き合うことになります。自分自身を振り返る中で『どうして自分はこんなにダメだったんだろう』『なぜネガティブな考え方にとらわれていたんだろう』と落ち込むこともあるでしょう。
ダメな自分を受け入れる『自己受容』も自己啓発のベースになります。自己受容は時に痛みを伴いますが、『今の自分は過去の自分の結果だけど、未来の自分は今の自分が作る』ということを忘れずに、かつての自分をしっかり受け入れて自己啓発に臨みましょう」
他人に自己啓発を強制しない
「自己啓発によって思考が変わり、すべてにおいて前向きになると、『この素晴らしい“人生のコツ”を周囲の人にも伝えたい!』という衝動が湧いてくる人も多いです。
ですが、何ごとにおいてもそれぞれのタイミングというものがあります。あなたがあなたのタイミングで自己啓発が必要になったのと同様に、人それぞれ適切なタイミングがあります。あなたが目覚ましい変化を遂げていったとしたら、『最近変わったね!何があったの?』と聞いてくるでしょう。それまでは、自分の成長だけにエネルギーを注いでください」
日々の生活や周囲の人を大切にすること
「自己啓発によって新たな価値観や視点を得たことで、今までの生活が一気に窮屈に感じることがあるかもしれません。『ここは自分のいるべき場所じゃない』『早く次のステージに進みたい』という思いが浮かんできても、それを周囲にアピールすることは余計な衝突を生む可能性があります。
日々の生活や周囲にいる人を大切にすることを忘れず、成功者の“人生のコツ”にのっとった努力を積み重ねていくことが『なりたい自分』への近道となります」
「自己啓発」はあなたの人生に大きな転換点をもたらす
社会的成功者がその人生に取り入れている“生き方のコツ”を学ぶ「自己啓発」。
憧れの人のような生き方には遠かったとしても、「なりたい自分」になる過程で得られる自己肯定感は、あなたの人生を大きく変えます。また、周囲の人々にも大きな影響を与えることでしょう。
今まで「自分を変えたい。けれどもその方法が分からない」ともがき続けてきた人にこそ、自己啓発は人生に大きな転換点をもたらしてくれるはずです。
(取材/執筆 中村実香)