マーケティング

【マーケティングとは】基礎知識や戦略の立て方をわかりやすく解説

【マーケティングとは】基礎知識や戦略の立て方を分かりやすく解説

 マーケティングの意味や基礎知識を知りたい方のために、『100円のコーラを1000円で売る方法』や『MBA必読書50冊』シリーズなど、著書が累計100万部を突破したマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚さんにインタビューを実施。本質的な理論や実践におけるポイントをわかりやすく解説してもらいました。

{ 目次 }

マーケティングの意味や目的
マーケティングの出発点は「ウォンツ」を発見すること
マーケティング成功事例/バルミューダのデスクライト
マーケティングと販売は、正反対
マーケティング戦略の立て方
マーケティング戦略は「STP分析」→「4P」の順で考える
マーケティング成功事例/星野リゾートの「OMO5」
マーケティング施策のポイント
マーケティング理論の理解から始めよう
マーケティングを現場目線で学ぼう

監修者・永井孝尚さんプロフィール

 ウォンツアンドバリュー株式会社 代表取締役・永井孝尚
ウォンツアンドバリュー株式会社 代表取締役・永井孝尚

慶應義塾大学工学部(現・理工学部)を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当。2013年に独立し、ウォンツアンドバリュー株式会社の代表取締役に就任。執筆の傍ら、製造業・サービス業・流通業・金融業・公共団体など幅広い企業や団体を対象に戦略策定支援を行う。ビジネスの現場で実践できるマーケティングと経営戦略を伝えるサブスクリプション型オンラインセミナー「永井経営塾」も主宰。

マーケティングの意味や目的

  経営学者のピーター・F・ドラッカーは「マーケティングの理想は、販売を不要にするものである」と述べています。その状態をつくるためには、「誰に」「どのような価値を」「どのようにして提供するか」というマーケティング戦略が重要。そこで今回は、「これからマーケティングを学びたい」という方に向けて、まずはマーケティングの目的や概要を解説。さらに、戦略を立てる際に理解しておきたいマーケティングの理論まで、永井先生にお伺いしました。

マーケティングの出発点は「ウォンツ」を発見すること

 「マーケティングとは、簡単にいうと『お客様がどうしても買いたい』という状況をつくることです。そのためには顧客の『ウォンツ』、つまり“欲しかったけど、手に入れられなかったモノ”を発掘することが出発点になります。

 でもこんな説明から入ると『抽象的過ぎてわからない。自分にはムリ……』という人が、すごく多いんですよね。多くの人がマーケティング嫌いになるのは、最初に専門用語のオンパレードが続くからです。でもマーケティングって、実はとっても身近なものなんです。そこで皆さんの身近なお話から始めてみましょう」(永井さん)

買い手の視点になってみる
 「皆さんは、最近『どうしても欲しい』と思って買ったモノがあると思います。1つ思い出してみて下さい。その商品を『買った決め手』は何だったでしょうか。

 私のセミナーでも数百回ほど同じ質問をしています。当初、皆さんの答えは『機能の多さ』『価格』『利便性』『お気に入り』『価値観』といった5つのどれかに分類されるだろうと思っていました。では実際にはどうか。これまでの皆さんのお答えを分類すると、こんな結果になります。

機能の多さ:0%
価格:5%
利便性:30%
お気に入り:30%
価値観:35%

 5つのなかで一度も選ばれなかったのが『機能の多さ』。そして5%しか選ばれなかったのが『価格』です。つまり『あれもこれもできるから欲しい』とか『安いから買った』という人は、ほとんどいないということです。95%の人は『利便性』『お気に入り』『価値観』、つまり『個人の嗜好』で選んでいます。『どうしても欲しいモノは、好きだから買った』ということです。これって当たり前のことですよね。

 でも、私が企業で実際に商品開発や営業戦略のご支援で入ると、8割の方は『お客様の要望にはすべて応えよう』とか『ライバルよりも安くしよう』と考えます。『多機能』や『価格の安さ』で勝負しようとするのです。でもそんな人たちも、コンビニに入ったりして消費者になった途端に『多機能』や『価格』はすっかり忘れます。そして95%の人は『利便性』『お気に入り』『価値観』で商品を選ぶのです。これって不思議ですよね。実はこの状況は、下記のように図示できるんです。」


 「つまり、図のように『買った商品の価値』と『あなたの価値』が合っていて、『他の商品』では満たせない時、つまり赤い部分がある時に、あなたは初めてお金を出すのです。これは『消費者の視点』です。これを引っくり返したのが右の図。下記のように『ビジネスの視点』になります。

□『買った商品』→『自社の商品』
□『あなたの価値』→『顧客の価値』
□『他の商品』→『競合の商品』

 図の赤い部分と青い部分は、全く同じものです。青い部分が『お客様が買う理由』です。これをマーケティング用語で『バリュープロポジション』といいます」

買い手と売り手の視点にはギャップが生まれる
 「よく『お客様目線で考えろ』と言われますが、私たちは消費者であり、ビジネスパーソンでもあるわけで、『お客様目線』で考えるのは難しくないはず。でも現実には、これがなかなかできないのです。

 会社にいると『お客様のご要望に応えよう』と考えて日々努力をしても売れず、『なんでウチの商品のよさが伝わらないんだろう』と悩みます。でも同じ人が店に入って消費者になった途端に、『どの商品もみんな同じでしょ』と考えるわけです。そこで問題は、なぜこんなことが起こるのか、ということですよね」

買い手はどんな時に満足するのか?
 「これはあなたがどんな時に満足するかを考えるとわかります。あなたは『自分の期待以上のものが得られた時』に満足するはずです。これは『満足=提供価値-期待』という式にできるんです」


 「図のように、提供価値が期待を超えられないとお客さんは失望します。お客さんの要望に何とか応えようとして言いなりになっている限り、これは超えられません。満足度はマイナス、よくてもゼロです。図のように、お客様の期待を超えることでこの式はプラスとなり、お客様に満足していただけます。つまりお客様の言いなりにならずに、期待を超える価値を提供して、初めてお客様の満足が得られるということです」

マーケティング成功事例/バルミューダのデスクライト

 「ここで事例を紹介しましょう。デスクライトというと、価格帯は1000〜4000円くらいですよね。この市場で、価格4万円にもかかわらず大ヒットした商品があります。バルミューダの『BALMUDA The Light』です。

 このデスクライトが誕生したきっかけは、同社社長の寺尾玄さんが机で子どもたちが勉強している様子を見て『違和感』を持ったからでした。子どもたちの手元に影ができて暗くなっていたので、『これって、子どもたちの目に悪いんじゃないか?』と感じたのです。そこで、『子どもたちの目を守る光』というコンセプトで商品開発が始まりました。

 寺尾さんたちは『手元が一番よく見えなければならない場所はどこか?』と考えました。結論は『手術室』。そこで手術室のライトの技術を応用して、手元まで明るく照らせるデスクライトを開発しました。さらに目の負担を軽減できるように、ブルーライトをカットした太陽光LEDも採用。結果、両親が小学校に入る子どものために購入するようになりました。さらに、自宅でよく仕事をするビジネスパーソンからも支持されるようになり、高価格帯の商品ながら大ヒットに直結しました。

 バルミューダは『子どもたちの目を守る』という“欲しかったけど手に入れられなかった顧客のウォンツ”=“今まで市場にはなかったお客様のニーズ”を満たすことで、マーケティングに成功したのです」

参考:バルミューダのサイト

マーケティングと販売は、正反対

 「『マーケティング』と『販売』という言葉は、よく混同されがちです。しかしこの2つは正反対なのです。『マーケティング』は、BALMUDA The Lightのように買い手のニーズに重点を置き、顧客のウォンツを満たすことを目指します。これに対して『販売』は売り手のニーズに重点が置かれています。マーケティングの大家であるセオドア・レビットは『販売とは、製品やサービスを現金に換えるテクニックだ』と言っています。マーケティングは、あくまで顧客起点で行うものです」

マーケティング戦略の立て方

 次に、マーケティング戦略の立て方をご紹介します。ここでは、基本的なフレームワークを習得しましょう。

マーケティング戦略は「STP分析」→「4P」の順で考える

 「マーケティング戦略は『STP分析』と『4P』を決めることから始まります。まずはSTP分析で『戦略の策定』を行い、次に4Pで『戦略の展開』を決める、という流れです。下記図のような流れで進めていきます。

 ただこの話を聞いて、チンプンカンプンになる人も多いのではないでしょうか? かく言う私もマーケティングを学び始めた時に、STPとか4Pという言葉で、何が何だかわからなくなったことが、いまだにトラウマになっています。そこで事例で考えてみましょう」


マーケティング成功事例/星野リゾートの「OMO5」

 「星野リゾートは、OMOというこれまでにない全く新しい都市型観光ホテルを全国に展開し始めています。その最初のホテルが東京・大塚にある『OMO5』です。

 OMOが誕生したきっかけは、星野リゾートが長野県・浅間温泉で営業していた『界 松本』という旅館で、従業員が気付いたちょっとした違和感でした。『界 松本』自体の稼働率はよかったのですが、温泉街の観光客は近隣の松本市内に宿泊していたのです。

 『何か変だぞ』と思って全国のビジネスホテルの宿泊者をリサーチした結果、ビジネスホテル宿泊客のうち6割がビジネス客ではなく、観光客であることがわかりました。彼らは設備や料金には大きな不満はなかったのですが、ビジネスホテル特有の素っ気なさに『テンションが下がってしまう』と感じていることもわかりました。『これは新たなビジネスの鉱脈じゃないか』と考えて、社内で『都市型ホテルはどう変われるのか』を議論。そして生まれたのが、東京の大塚に1店舗目を構えたOMO5です。

 OMOのコンセプトは『寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル』。これまで『都市観光ホテル』というコンセプトはなかったわけで、まさしくこれも『ウォンツ』そのものですよね。

 大塚は都会にありながら、市電が走り、レトロな銭湯もあります。また女将さんがいるような飲み屋もあったり、そのディープな雰囲気が魅力。そこに住む人からすれば当たり前のことも、外からの来訪者にとっては新しい体験ができるエリアです。でも従来のビジネスホテルに宿泊すると、そんなディープな大塚の魅力に出合えませんし、外から帰ってきても1人部屋が多いので、複数人で語り合って楽しむこともできません。

 そこでOMO5では、大塚の魅力を知り尽くした従業員が宿泊者を案内する『OMOレンジャー』を組織。『OMOレンジャー』はホテル近隣にある約100店のディープスポットを、宿泊者の嗜好に合わせてアテンドしてくれます。さらに、2段ベッドや大人数で談笑できるスペースも用意しました」

参考:「第20回 日経フォーラム 世界経営者会議」での星野社長講演より(現地で参加)

 「このOMOの事例をSTP分析と4Pに当てはめると、下の図のようになります」


<STP分析>
 STP分析は、戦略の策定です。まず市場を分析し、どんなターゲット顧客に対して、どんな自社の立ち位置で攻めるかを考えます。ちなみにSTPは、次の3つの頭文字です。

□市場の細分化(セグメンテーション Segmentation):ホテル市場を細分化
□狙う市場・ターゲットの決定(ターゲティング Tatgetting):「ビジネスホテルはテンションが下がる」という都市型の観光客
□自社の立ち位置の明確化(ポジショニング Positioning):旅のテンションを上げる都市観光ホテル

<4P>
 4Pは、STP分析で立てた戦略を、実際に展開していきます。ちなみに4Pは次の4つの頭文字です。

□「Product(製品)」:OMOレンジャー/2段ベッドで複数名で宿泊しても楽しい
□「Price(価格)」:低コストで効率運営、1人基本7000円(OMO大塚で2名宿泊の場合)
□「Place(チャネル=流通)」: 自社の直販のみ(統合コールセンターで対応)
□「Promotion(プロモーション)」:広告なし、パブリシティとSNS口コミ中心

 「このようにSTP分析で戦略を策定、その戦略を実現するために4P(製品戦略/価格戦略/チャネル戦略/プロモーション戦略)がお互いに相乗効果を起こすように展開することが、成功のカギです。

 この際に極めて大事なのが、STP分析→4Pの流れが顧客目線で首尾一貫していることです。これができていないことが、実に多いのです。製品中心の視点で考えられていたり、顧客のウォンツを把握していなかったりすることも多く見かけます。ぜひチェックしてみてください。

 もう一つ大事なことは、ヒントは身近な疑問にあるということです。OMOは『温泉地に来る顧客がビジネスホテルに泊まるのはなぜか?』、バルミューダも『子供たちの目に悪いんじゃないか』という違和感や疑問がきっかけでした。マーケティング分析というと、統計の分析やマーケティングリサーチといった市場分析に頼る人も多いのですが、これらがあまり活用されていないのも現実です。等身大の消費者として身近な疑問を見つめてみると、意外と地に足が付いたウォンツが発掘できるのです」

マーケティング施策のポイント

 最近は、さまざまなマーケティング手法が世の中に出てきています。しかしその手法や専門用語を理解するだけでは、マーケティングができるようにはなりません。そこで、マーケティング戦略の立案や実行で欠かせないポイントを解説してもらいました。

マーケティング理論の理解から始めよう

 「最も重要なのは、長く使いこなせるコアスキルです。マーケティングの基本的な理論を身に付けることです。最近流行りのWEBマーケティング・SNSマーケティング・コンテンツマーケティングも確かに大事ですが、トレンドの変化に左右されます。持続しても1~3年、デジタルマーケティングも3~10年ほどで、賞味期限が短いというデメリットがあります。一方で、今回紹介したマーケティング理論の中には1960年ごろから提唱されているものもあります。同じ時間をかけて苦労して学ぶのならば、賞味期限が長い考え方を学んだ方がいいですよね。

 WEBマーケティングやデジタルマーケティングといった流行り物のノウハウに目が行きがちですが、これらはマーケティングの基本戦略を立てた後に、「じゃあ、どうやろうか?→今回はWEBを使ってみよう」といったように、手段として活用されるものです。時代が変わるとこれがスマホになったり、SNSになったりするわけです。

 マーケティング職のうち「マーケティングの基本戦略を構築できる人材」と「その戦略を受けてWEBマーケティングをする人材」を比較すると、戦略フェーズから担える前者の人材の方が給料が高い傾向もあります。せっかく時間をかけてマーケティングを学ぶなら、応用の効くマーケティングの基本理論を理解したうえで、必要なノウハウやテクニックを身に付ける、という流れがおすすめです」

マーケティングを現場目線で学ぼう

 ここまでマーケティングの全体像をご紹介してきました。しかし、マーケティングの理解と実践の間には、大きなギャップがあります。そこで理論を学んだうえで、理論を実際にビジネスの現場で試行錯誤をしながら応用していき、現場目線で理論を学んでいくことで、本物のマーケティング力が身に付いていきます。では、どのようにすればいいのでしょうか?

 「世の中には、いろいろな方法があります。例えば、ビジネススクールでMBA(経営学修士)を学ぶ方法もあります。しかし2年間という時間と数百~1000万円のお金が必要です。また、アカデミックな書籍で理論を学ぶこともできます。しかしなかなか理解しずらいですし、現場での応用が難しいのも難点です。

 そこで、私は現場目線のマーケティングを学べる場として、オンラインの『永井経営塾』を開きました。『仕事が忙しくて時間もない、通うのは面倒…』『好きな時に、好きな場所で、効率よくマーケティングを学びたい』『何から学べば良いか分からないし、役に立つ情報も選んで欲しい』という多忙なビジネスパーソンのウォンツを満たせるように、『仕事に役立つ経営戦略を、わかりやすく体系的に、どこでもオンラインで』というコンセプトで運営しています。

 マーケティングの基礎から応用まですべてを、ビジネスの現場で使える形で、網羅的に学ぶことができるので、マーケティング担当者になりたての方も、戦略フェーズを担えるマーケターを目指したい方も、ぜひ受講してみてください」

 マーケティングには、自社のみならず、社会を変える力があります。経営戦略にインパクトを与えられるマーケターを目指し、そして、世の中に求められる何かを生み出すために。あなたと消費者の中にある“あったらいいな”を形にできる、そんなマーケターを目指してみませんか?

(取材/執筆 松田 岳)

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