江戸幕府

権謀の世界を生き抜くための“日本式裏工作”の源流

権謀の世界を生き抜くための“日本式裏工作”の源流

 戦国大名も、所詮は「組織の歯車」だった! 書き残された大量の書状を読み解いた結果見えてきた、幕府のリアルと組織の掟、政治社会の本質を大公開します。書状群を分析し、まとめあげたのは、近世日本政治研究の第一人者、文学博士の山本博文氏。今も昔も変わらない、中央政府の統治機構と組織人の行動パターンに鋭く斬り込みます。

膨大な書状に残された、諸大名の“内なる声”

 
 時は江戸時代初期、動乱と変革の時代。

 当時、肥後熊本藩の隠居だった細川忠興と息子の忠利にフォーカスし、江戸城内部のリアル、政治社会をうまく立ち回るための権謀術数、外様大名の生き残り戦略を明らかにしていきます。

 忠興が書いた忠利宛ての書状が1,820通、忠利が書いた忠興宛ての書状が1,084通。忠利の子、光尚宛ての書状や幕府年寄、旗本、他の大名、家臣などへの書状を合わせると優に1万通を超えており、忠興・忠利父子の往復書状はほぼ完璧に残されています。

 しかも、忠利は自分が送った文書の控えを作成させる念の入れよう。その甲斐あって、原本と同等の貴重な史料を目にすることができます。

 これらの書状群と、『江戸幕府日記』のような公的な日誌や役務日誌、老中奉書などの公文書が、歴史的事実と背景、個々人の動きや“内なる声”を雄弁に語ってくれるのです。

大名はつらいよ

 本書は膨大な書状群をひもときながら、忠利の人質時代から関ヶ原の合戦、大阪冬の陣・夏の陣、肥後熊本への転封、鎖国令とポルトガル船の追放、島原の乱へと展開していきます。

 激動の時代を生き延びるための人脈づくり、幕府における熾烈な“宮廷外交”、大名どうしの情報戦、政略結婚、町民の人心掌握、一揆や乱への対処などの様子を書状から丹念に拾い上げ、克明に記述。

 各大名が何を考え、何をしようとしていたのか? 権謀渦巻くこの時代を生き延びるために、どう動けば良いのか? 大名としての思案と決断、人の親・人の子としての心の機微も露わにしていきます。

 江戸城の普請が開始される時、諸大名に「来るには及ばない」との幕府のお触れがあったことを忠興が知り、「幕府に従順な大名たちは江戸に来るかもしれない」と考え、諸大名が江戸に行くことになった時の準備をしておく。

 熊本八代城の屋敷の庭に池を掘る際、「城の防備ではないので問題ないとは思うが、幕府の許可がいるのかどうか、念のため年寄衆に聞いてみるべき」と忠利が忠興に進言する。

 幕府の信頼を維持するために、外様大名どうしの懇ろな関係を悟られないように振る舞いながら、いざという時に備えて親密な交際を続ける。

 あらぬ疑いをかけられないよう、細心の注意を払って幕府に対応していたことがうかがえます。

「大名はつらいよ」

 そんな声が聞こえてきそうです。

今も昔も変わらない「組織の掟と生き残り戦略」


将軍は大名の言動を注視している。
大名は将軍の言動を注視している。
わずかなミスが命取りになりかねない。
役人の動きを考えて行動しないと、いつ自分が陥れられるかわからない。

 将軍に信頼されている年寄(老中)はだれか、これから権力の座につくのは誰か、誰に従うと危ないのか、情報を絶えず収集しておく。

 江戸時代における組織の掟と生き残り戦略が見えてきます。

よくわからない理由で左遷される。
ボスに気に入られるためにゴマをする、賄賂を贈る。
かき集めた莫大な財産がバレるのを恐れ、隠蔽工作。
ライバルを陥れるため、噂やデマを流す。
利権を貪る。
不祥事をうやむやにするための「とかげの尻尾切り」。

 現代にも通じる、ありとあらゆる“裏工作のパターン”も見えてきます。

 歴史好きが読めば、江戸時代の動乱と変革を深掘りするための書。ビジネスパーソンが読めば、社内政治の本質を知り、組織の中をたくましく生き抜くための啓発書。

 江戸城を舞台に、今も変わらぬ“組織と企業、官僚の本質”を教えてくれる。そんな印象の一冊です。

<書籍紹介>
宮廷政治 江戸城における細川家の生き残り戦略
(著者 山本 博文)

膨大な書状には、将軍を取り巻く人々の思惑が、克明に記録されていた!
大名親子の間で交わされた膨大な書状が、熊本藩・細川家に残されていた。そこには、江戸幕府の体制が確立していく過程と、将軍を取り巻く人々の様々な思惑がリアルタイムに記録されていた!

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