ノンフィクション

困難に直面しても前向きになれる、超一流アスリートの“不屈のメンタル”

困難に直面しても前向きになれる、超一流アスリートの“不屈のメンタル”

 陰の世界で懸命に生きる人たちに光を当てることをテーマに、幅広く執筆活動を続けているノンフィクション作家、澤宮優氏。今回、いまだ謎が多く誤解も多い魔病“イップス”を乗り越えたアスリートたちにフォーカスし、イップスの発症と克服のための奮闘、現在に至るまでの紆余曲折と、医学・心理学から見たイップスのメカニズムに迫ります。

経験豊かなプロたちの知られざる現実

 自分の身体が意志通りに動かせなくなる“イップス”。無意識的に筋活動が乱れ、けいれんや硬直などが起こり、処置が非常に困難、とされています。

 イップスという言葉はゴルフに由来したもので、パットやアプローチの時に手が止まる、思い通りに動かせなくなるといった症状が現れるほか、野球や体操、バレーボール、卓球、テニス、体操など、ゴルフ以外のスポーツでも発症することがあります。

・キャッチャーにボールが届かない。
・サーブミスを連発してしまう。
・跳馬のとき、名前をコールされても足が動かず走り出すことができない。

 同じような症状はスポーツに限らず、経験豊かな楽器演奏者や理容師などにも幅広く見られます。

・楽器を演奏するとき、原因不明のしびれや震えが出る。
・髪の毛をカットするときにハサミを持つ手が震える。

 しかしながら、ゴルフ以外の種目やスポーツ以外の分野では、同じ症状でもイップスと呼ばないこともあり、統一した用語がないのが実情です。

イップスに悩むアスリートの「神メンタル」

 著者の澤宮氏はスポーツの書き手として、イップスを実際に経験した一人として、「イップスを正しく追究したい」という使命感を持って取材を敢行。

 選手からは「今は話したくない」「引退後に話す」「イップスに特化した取材は受けたくない」などと断られながらも、勇気を持って告白してくれたプロ野球選手とプロゴルファー5名にフォーカス。

いつ、どのようにしてイップスを発症したのか?
その時、どんな思いが駆け巡ったのか?
イップスを乗り越えるためにどんなチャレンジをしたのか?
周囲の人とどんなかかわりがあったのか?


 テレビや新聞ではうかがい知れない、そんな経緯をドキュメンタリースタイルで綴りながら、イップスに悩むアスリートたちのリアルに迫っていきます。

 これに加えて、アスリートを支えたコーチや医師にも取材を行い、指導する立場・治療する立場から見たイップスについても詳述、発症のメカニズムや治療法など、最新の知見もお伝えしていきます。

 現役時代にイップスと向き合い、輝かしい結果を残してきた元プロ野球選手、森本稀哲氏は、当時を振り返ってこんなコメントを残しています。

「僕はイップスじゃなかったら、ここまでの選手にはなっていなかった。自分の存在はイップスのお陰だと思えるようになったんです。」

 元プロゴルファーの佐藤信人氏も、こんなコメントを残しています。

「イップスも、選手として稼げなくなるといった不安はありますが、ある程度のラインまで来たら、なって良かったとたぶん思うのではないでしょうか。人間として得たものが大きいというか、成長したというか、深みが出たというか。他人への思いやりが出たと思うんです。だから今悩んでいる選手には、そんなに悪いものでもないよと言ってやりたい。」

 試練を乗り越え、一回り大きくなった人の余裕が伝わってきます。イップスを体験して見えてくるものも多いようです。

ドン底から這い上がる“驚異のサバイバル力”の源泉

 本書はプロスポーツ選手にスポットを当てていますが、人生全般における試練や逆境、これによって湧き上がる感情との向き合い方のお手本にすることもできます。

 澤宮氏は語ります。
「人は誰しも生きている限り、試練に遭う。あるいは修羅を抱えて生きなければならないこともある。イップスもそのひとつである。『何という理不尽な症状に、前触れもなく、自分だけが襲われなければいけないのか』。かつては選手生命の終わりを意味することもあり、その絶望、怒り、悲しみは尋常ではなかったことと推察する。」

「失意の中で私たちはどう生きればいいのか。スポーツという枠だけでなく、多くの困難に直面した人々が、イップスと真摯に戦う選手たちの姿から、今の時代に生きる勇気を抱くことを願ってやまない。」

 膨大な時間と労力をかけてまとめあげた、著者渾身のドキュメント。一流と呼ばれる人たちが、地獄からどう這い上がったのか? 人間の本質と無限の可能性について教えてくれる、そんな一冊です。

<書籍紹介>
『イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち』
(著者 澤宮 優)

大事な場面で、手が動かない。その原因はメンタルではなく脳にあった!
原因は、メンタルではなく脳にあった!

【目次】
第一章 捕手にボールが届かない――岩本勉(元北海道日本ハムファイターズ投手)
第二章 一塁への送球がスライドしてしまう――土橋勝征(元東京ヤクルトスワローズ内野手)
第三章 ボールが指にひっかかる――森本稀哲(元北海道日本ハムファイターズ外野手)
第四章 自分の写真を見たことでパター不振に――佐藤信人(プロゴルファー)
第五章 パターする腕に電気が走った――横田真一(プロゴルファー)
第六章 イップスのメカニズム

>>詳細はコチラ

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