日中戦争

国家の命運を左右する“生き残りの戦略”と“外交”の原則

国家の命運を左右する“生き残りの戦略”と“外交”の原則

 「太平洋戦争中、日本軍は中国大陸で何をやっていたのか?」。意外なほどに知られていない、このテーマを深掘りして書籍にまとめあげた、気鋭の中国研究専門家、広中一成氏。「人がやらないことをやる」広中氏の本領発揮、類書とは一味違う斬新な視点と説得力あふれる筆致で、太平洋戦争下の中国戦線の実像に迫ります。

知っているようで知らない“日中対決の構図”


 満州事変、盧溝橋事件、南京事件、武漢作戦・・・
 その後は対米戦の陰に隠れてしまった、日中戦争。

 日米開戦後、中国でどんな作戦が展開されていたのか?
 大本営、作戦司令部、最前線で何が起こっていたのか?
 作戦の成否は? 実は意外なほどに知られていません。

 著者の広中氏も、かつてはその一人。本書を上梓した理由について、こう語ります。

 「私が本書を作ることを決めたきっかけは、友人との何気ない会話からであった。あるとき、私が日中戦争について調べていることを知った友人が『そういえば、太平洋戦争のときって日中戦争ってどうなってたんだっけ』と、不意に尋ねてきたのだ。

 いつもならば、満洲事変から盧溝橋事件、さらには武漢作戦までの一連の流れを事細かく話す私も、そのときは、自分でもおかしいと思うくらいたどたどしく説明をした。つまり、よくわかっていなかったのである。

 日中戦争序盤についての考察はきわめて詳細になされている。しかし、友人が問いかけてきた後期日中戦争の出来事については、抜け落ちていた。また、太平洋戦争をテーマにした関連書も同様で、ごくわずかに記されているのみであった。このまま、この時期のことを知らずにいてよいのだろうか。
そのような問題意識から、本書執筆に至ったのである。」

実はこうだった!対中戦略と戦場のリアル

 本書は、中国戦線の主要な作戦に従軍し続けた名古屋第三師団にフォーカスし、作戦の顛末を克明に記述。日米戦の裏で行われていた日中戦争について、作戦ごとに章を立て、時系列で作戦の全容を“見える化”していきます。

 中国戦線では数多くの作戦が立案・実行され、第三師団が関与していないものもありながら、敢えてこの構成を取ったことについて、広中氏はこう述べています。

 「中国戦線の全容を知りたいとき、中国戦線に最初から最後までいた第三師団をひとつの『縦糸』としてたどっていくのはどうか。もちろん、第三師団が関わっていない華北の作戦や、それ以外の戦いもたくさんある。しかし、日中戦争、特にこれまで一般的に関心の薄かった、太平洋戦争下の中国大陸の戦況を一本の線としてとらえることが、第三師団の歩みを丁寧に追っていくことで可能となるのだ。」

 本書をまとめるに当たり、広中氏は関連書籍や個人所蔵の資料、論文、雑誌記事、新聞、生存者のインタビュー、中国語の文献など、膨大な資料を分析し、考察。

 作戦変更の命令が下り、手痛い敗北を喫した「第二次長沙作戦」をはじめ、江南殲滅作戦初期に発生し、民間人への暴虐があったとされる「廠窖(しょうこう)事件」など、第三師団が関与した5つの作戦(事件)を取り上げ、その顛末を詳らかにしていきます。

 当事者の証言や日記などを原文のまま引用しながら、厳しくも苦しい作戦行動と束の間の平安、兵士と指揮官、作戦司令部、大本営の“とても人間的な振る舞い”を、臨場感あふれる筆致で綴っています。

歴史の空白を埋める、日中戦争史

 満州事変、盧溝橋事件、武漢作戦から真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナルへ。
歴史書や研究書の多くが太平洋戦争に記述の大半を割いており、同じ時期の日中戦争を充分に論じることなく終わっている。そんな状況に一石を投じた、広中一成氏。

 「ゴールの見えない、果てなき戦いとなった」日中戦争の現実と、当時の軍人・民間人が体験した、厳しく悲惨な現実が見えてきます。

「戦争は、当事国双方の国民に被害を与え、悲しみのどん底に突き落とす。戦場で戦った兵たちもまた、大きな悲しみを抱えた。悲劇が悲劇を生む戦争を私たちは繰り返してはならない。」

 ここ数年は特に、世界が大きく動いています。日本は世界の国々にどのように向き合い、立ち回っていくべきなのか? 私たちひとりひとりに必要な心構えは?

 歴史の空白を埋め、日中戦争のさらなる理解、知識のアップデートにうってつけの一冊。世界と関わりながら現代と未来に生きる日本人として、日中戦争をより深く知っておく必要がありそうです。

<<書籍紹介>>
後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線
著者 広中 一成

真珠湾攻撃の裏で起きていた、敗北。41年以降の中国戦線の実像を描く!
真珠湾攻撃の裏で起きていた、敗北。
41年12月以降、中国戦線では何が起きていたのか?
気鋭の中国史研究者が空白の戦史を埋める!

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