世界の偉人が教えてくれる、人生をひっくり返す智慧

成功者たちの“逆境力”

　人間、生きていれば、辛いこと、苦しいことがつきものです。新型コロナウイルスの影響を受けて厳しい状況に追い込まれ、先の見えない不安を今も感じている人も少なくありませんし、コロナ禍でなくとも、逆境に立ち向かっている人たちは世界中に存在します。

　「同じような困難に直面していても、乗り越えられる人とそうでない人は何が違うのだろう？」著者の桑原氏はそんな疑問を持ち、「何か決定的な差があるのでは？」と考えるようになります。

　また、桑原氏が数多くの成功者を研究していくうちに、「難局は誰にでも起こるもの。これは『変わるチャンス』であり、乗り切ることさえできれば、人も企業も着実に成長できる」との確信を得るようにもなります。

　世界の偉人たちがどうやって難局を乗り越えたのか？　
　自分はどうやって難局を乗り越えていけば良いのか？
　
　答えはあるのです。

逆境を強く生き抜いた、100のエピソード

　本書は、逆境を乗り越え成功した世界の偉人100人を取り上げ、どん底からV字回復を果たすまでのエピソードを、見開き2ページに凝縮。

＜一例＞
・ディズニーのアニメーターを目指すものの絵がうまく描けないことに気づき、コンピュータ・グラフィックスの技術を極めて世界的大ヒットアニメ『トイ・ストーリー』を制作した、アニメーション制作会社の創業者

・子どもの頃からスポーツ万能、駅伝中心の生活を送るものの、足の捻挫が原因で陸上競技部を引退してサラリーマンに転身、その後「もう一度、陸上界で頂点を目指そう」と決意して会社を辞め、箱根駅伝で総合優勝を果たした監督

・会社の上司から「苦労して売り上げた金をムダ遣いしている」と嫌味を言われ続け、電話にも出ず、会議も無視し、変人扱いされながらも研究に打ち込み、高輝度青色発光ダイオードを開発してノーベル物理学賞を受賞した研究者

　職業、時代、国籍、性別など、さまざまな背景を持った人物が登場し、難局の内容も乗り越え方も実にさまざま。特徴的なのは、額縁に入れて飾るような「偉人の名言」ではなく、彼ら、彼女らが困難に直面した時に何を考えていたかがわかる言葉を紹介している点。

・失敗して「ダメだ」と言われても、諦めることなく自分のやるべきことをやり続ければ、ちゃんと誰かが見てくれているもの

・「才能は思い込みから」であり、そんな思い込みがあって初めて人は辛い時代を乗り切っていくことができる

・人は収入のためだけに働いているのではないと感じた時、内に秘めた創造性を発揮する

・大きく後れを取った時、逃げたり人のせいにするのではなく、努力を続ければ「自分の本気にたどり着ける」

・あきらめの悪さが実を結ぶ

　など、どん底からV字回復を果たした経験者ならではの、深いメッセージが盛りだくさん。冒頭から100人分一気に読み進めてもいいし、気になる人、気になるエピソードから読み始めてもいい。本書をきっかけにして、気に入った人物を深掘りしてもOK。様々なスタイルで気軽にお読みいただけます。

敗北こそが成功の道

　本書に登場する偉人の中には、「当時は苦しかったけど、失敗や敗北は必要なものだった」「失敗や苦難があったからこそ、今の自分がある」と振り返っている人もおり、桑原氏はこんな言葉を述べています。

　「レスリングの吉田沙保里さんの『私は勝ち続けることで成長したんじゃなく、負けて強くなってきた』という言葉が象徴しているように、ほとんどのアスリートは子どもの頃から幾度もの敗北を経て勝者へと成長しています。

人が成長するうえで勝利や成功は大きな自信となりますが、本当の意味で人を成長させてくれるのは敗北や失敗であり苦難なのです。」

　本書は言わば、世界に絶大な影響を与えた凄い人たちによる「失敗から立ち直る究極のメッセージ」であり、最初から偉大だったわけではないけれど、逃げ出したくなるような困難を乗り越えて成長した、「世界の成功者の偉大な智慧」でもあります。

　とてつもない成果に裏付けられた成功マインドを知り、人生をひっくり返すヒントを手に入れる格好のテキスト、前向きになれるメッセージが満載の一冊です。