投資トラブル

投資トラブル7億円で地獄をみたTKO木本が語る 「絶対やってはいけない投資の話!向き、不向きとは?」

TKOの木本武宏さんが、初の単著『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』を2024年4月12日に発売。投資トラブルの渦にのまれ、絶望の深淵から這い上がってきたひとりの男として、「もう一度、投資のことをイチから学んでみたい」と語る木本さん。その胸中を伺った。

【写真】 出版を記念して講演を開催する木本さん
【写真】 出版を記念して講演を開催する木本さんKADOKAWA SEMINAR(C)

ギャンブル癖もなく、冷静かつ律儀な男がなぜ?
仕事、人間関係、芸人として…不安がすべての引き金に


 都内某所。事務所の呼び鈴を押すと「はーい!」、聞きなれた声がモニターから響く。すぐに扉が開き、目の前に笑顔をみせる木本さんがいた。玄関にはスリッパが丁寧に並べられ、そのまま事務所の廊下を進んでいくと、木本さんはすぐにキッチンに入っていく。コーヒーを注ぎながら「砂糖とミルクはどうですか?」と、まるで友人さながらの気遣いのひと言。「お盆もなくて、無作法ですみません」と、慣れた手つきで湯気の立つタンブラーをそっとテーブルに置いてくれた。

 挨拶からわずか数分で、木本さんが持つ気配りと礼儀正しさに触れ、とても7億円というトラブルに発展するほど、投資にのめり込むタイプには見えなかった。

 本書でも、木本さんは決して「金持ちになりたい」わけでも「根っからのギャンブル好き」でもないと告白している。これまで、無作法な後輩芸人を見てはしっかり説教をすることは、業界では知られた木本さんの一面であり、目の前の出来事を場当たり的にしのぐタイプではない。一度俯瞰して、そこから自分の立ち位置を決めていくほど、冷静さも持っている。それならば、なぜ?

 「50代を目前にして、仕事面ではそこそこうまくいってるけど、大成功といえる自信がなくて。相方ともうまくいってないと感じたり、どんどん将来への不安が膨らんで、その不安を取り除くために"お笑いがダメになっても、もうひとつの自分の柱は別にある"という基盤を作りたくて、投資にのめり込んでいきました」。

50歳という人生の岐路に立ち、同じように将来へ漠然とした悩みを抱えている人は決して少なくはないだろう。どこにでもある、ごく平凡な悩みに聞こえた。それでも、結果7億円の投資トラブルにまで発展したのは「欲にまみれたんですね。その結果、すべてを失うという、地獄が待ってました」と疲労感をにじませた。

 投資は、最終的には本人の責任だ。誰に何を勧められようが「イエス」と判断した結果に過ぎない。しかし、木本さんは自身の紹介で損失を生んだ相手に、まるで借金を返すように穴埋めを続け、またその資金繰りを求めて不透明なままの"おいしい話"の波に、どんどんと飲み込まれてしまった。

 「僕も騙されたんやで! と言えばそれまでなんでしょうけど…。やっぱり、みんなを巻き込んだ全責任は、僕にある」。他人に迷惑をかけてしまったという自責の念、加えて生粋の面倒見のよさ、事態を収集できるのは自分だけだという責任感の強さ、生真面目さのすべてが、マイナスに働いてしまったのだろう。

若手を集めた「勉強会」もいつしか「おいしい話を持ち寄る」幼稚な場に…

 本書の中では、ビットコインやFXをはじめ、木本さんが収集した知識を仲間と共有する「勉強会」が開かれていたことにも触れている。この会で、木本さんの情報力に感嘆した仲間は投資額を増やしていく。

「勉強会なんて偉そうなことじゃなくて。今振り返れば無知な情報交換だったと思います。お金や投資のことを真面目に勉強することもなく、この銘柄がオススメらしいで!とか、コレが儲かるらしいでとか。いつの間にか『おいしい話を持ち寄る会』みたいな、幼稚な場になっていた」と振り返る。

それでも“勉強会”の仲間には、誰かひとりぐらい止める役目を担うこともできたはず。「あのときは、ビットコインで儲かったり、ほかの仮想通貨の話をワイワイと話したりすることが、すごく楽しくて。だからビットコインのバブルが弾けたとき、僕らは大好きなオモチャを取り上げられたような気持ちになったんですよね」。

 もう一度、みんなで遊べる次なるオモチャを求める気持ちは、わからなくはない。「ビットコインが8倍にもなる成功経験を経て、あのドーパミンが溢れる感覚はまさに脳内麻薬でした。同じ興奮を探してしまった。そこでFXを勧められて、またワクワクして…。余剰金で、楽しむ程度ならよかったのに…。一度、あの麻薬のような高揚感を経験した後だと、数パーセントの利益で投資を続けようとは思えませんでした。今こうして話していても、アホやったと思います」。

【写真】冷静に投資トラブルを振り返る木本さん
【写真】冷静に投資トラブルを振り返る木本さんKADOKAWA SEMINAR(C)


投資をもう一度しっかり勉強して伝えたい!「新NISAやってません。でも、いつか」

 木本さんの投資トラブルと相反して、世間は今やテレビ番組にCM、YouTubeや出版業界をあげて「投資ブーム」。この風潮に対しての意見を伺うと「投資は決して悪いことでも、ギャンブルでもないんです。だから、僕はもう1回、イチから投資というか『お金』と向き合いたいと思ってます」と、意外な本音を明かす。

自身の事件が大きく扱われたことについて「ビットコインを始め、投資というものをすごく危ないものだと印象付けてしまったという自覚があります。でも、しっかり学んで向き合えば、決して"怪しいもの"ではないです。そういう話ができるまで、勉強してみたいと思っています」と、前向きな言葉が漏れた。

 「投資について、もう一度しっかり本を読むことから始めたいんです。新NISAだって今はしていませんけど、ちゃんと知識を付けたうえで、始めたいという気持ちはあります。今は全く考えられませんけど、いつか投資について正確な知識を持って話したいという目標はあります」。

 木本さんが習得したいのは"正しい”知識。「儲け話ってほんとに沢山あるんです。その倍以上に、詐欺話があるのも事実」と、語気を強める。「本にも書きましたけど、コロナ禍に飛び込んできた『PCR検査キット詐欺』とか。その時々のトレンドを読んだ詐欺はいつもあるから、そういう情報をキャッチして注意喚起ができる人に、いつかなれたらなと思います」。

投資を始める人に知ってほしい!絶対に「やったらアカンこと」

 どん底から一歩ずつ再生への道を歩み始めた木本さんだからこそ知る、投資を始める人のNG行為を尋ねると「絶対にやってはいけないことは『友達が勧める儲け話に乗っかる』です」と自嘲気味に笑う。「相手を信頼しているとか、長い付き合いとか、そんな関係値は後回しでいい。勧められたものに対して、自分は十分な知識があるのか?ないなら自分で勉強してから、判断するべき」と続けた。

 「自分の性格や好みにあう投資方法は沢山あると思います。それがわかってくるまで、自分の時間と労力を使って調べること。そこをサボったままで『僕には無理や。丸っとプロに任せよう』というのは、一見正しそうですがやっぱり辞めた方がいい」。

 投資を始めるときにやるべきことについては「もちろん『投資を勉強する』こと。今はその教科書がたくさんありますから」と、笑顔こそ絶やさないが口調は真剣そのものだ。

最後に、投資に向いている人については「投資で一発逆転を狙わずに、長い時間をかけたコツコツの先に、ちょっと利益が出るぐらいが丁度よいと思える人じゃないですかね。でも、丁寧に生きていない人ほど『儲け話が大好き』ですもんね(笑)。もしコツコツ生きていくことが、僕を含め苦手な人が多いなら、世の中の大半が投資に向いてないのかもしれません」と、自戒を込めた。

トラブルに陥って先が見えない人にこそ「日の当たる道は、必ず誰にもある」と伝えたい

 【写真】冷静に投資トラブルを振り返る木本さん
【写真】冷静に投資トラブルを振り返る木本さんKADOKAWA SEMINAR(C)


 現在「周るTKO」と題して全国コントツアー中。目まぐるしいスケジュールの中で、どうして出版記念講演まで開催するのか?キッカケのひとつに、あの事件発覚以来、木本さんのX(旧Twitter)には、同様のトラブルに悩む人からDMが届くようになったことがあるという。

そこにはトラブルの内容から共感を求める悲痛な声、また弁護士への相談方法を教えてほしいという実務的な相談から、生きることに希望が持てないという深刻なものまで、生々しい悩みで溢れている。いくつか返事を書くうちに「やっぱり、SNSのDMじゃなくて会って話したい」と強く思うように。

「最悪の状態を作って、その真っ暗な井戸の底から少し上に向かい始めた今、振り返ると一番エネルギーが必要で、且つ辛かったのは、その一歩を踏み出す瞬間でした。そのときに、あらゆる気力が凝縮された」と当時を振り返る。

「だから、どんなに苦しくても、そこから一歩は必ず踏み出せることを伝えたい。借金問題だけじゃなくて、今の状況にもがいて、進みたいけど手段が見えへんとか、そのパワーが出せなかったりする人に、僕の体験を全部伝えたい。この先大丈夫やでっていうことも、直接話せたらいいのになと思うんです。きっと、配信や文字では伝わらないものだと思うから」と熱っぽく語った。

 「陽の当たる場所に出て、そのど真ん中の道をちゃんと歩く人生。それがどれほど幸せで大切なのか。もう、陽の当たる道を歩くことは一生ないんちゃうかと本気で思った僕だから言えるし、同じように先が見えなくなっている人にも気づいてほしい。ほかに道がないと思っている人も、そんなことないよ、必ず立ち直れるよというメッセージも、この本に書いたつもりです」。

 お笑いコンビTKOとして全国にその名が知られ、その後さまざまなトラブルと向き合い、今相方とそろって再スタートを切った木本さん。書籍出版にとどまらず、今後はリアルに対面で話したいと臨む講演も予定。「これまでのこと、全部包み隠さず話します。そこから、この先のTKOのこと、僕自身の目標もお伝えしたいです。ちゃんと目を見て話せたらうれしいです」と、声を弾ませた。

<書籍情報>
『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』

著者 TKO 木本 武宏

 【表紙写真】『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』
【表紙写真】『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』KADOKAWA SEMINAR(C)


どん底を味わったTKO木本武宏が語る「人生は一足飛びには進まない」
「愛情」と「責任感」をこじらせた男、TKO木本武宏が招いた約7億円の投資トラブル。
絶望の淵に救いの糸を垂らしてくれたのは、心が離れていた相方・木下隆行だった――。
お金、仕事、人間関係……悩みを抱えるすべての人へ。一緒に這い上がれる希望の書。

書籍詳細>>https://www.kadokawa.co.jp/product/322304000703/

【プロフィール】 木本 武宏(TKTO)
1971年5月6日生まれ。大阪府大東市出身。90年に木下隆行とお笑いコンビ「TKO」を結成。バラエティ番組にとどまらず、NHKの朝ドラ『ごちそうさん』を始め、多面的に活躍。2022年7月に投資トラブルが発覚し活動休止するも、翌年1月より活動再開。同年8月より47都道府県すべてを周る全国ツアー「周るTKO」を開催中。2024年4月12日に初の単独書籍『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』を発売し、本書の出版記念講演も2024年4月19日(金)に都内にて開催決定。

【関連サイト】
・TKO公式サイト https://tko-official.jp/
・木本武宏「X」 https://twitter.com/TKO_KIMOTO

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