地方暮らし

第1回 コロナ禍で変化していく新たなQOLとは

良品計画が考える「ソーシャルグッドな地方暮らし」
KADOKAWA SEMINAR(C)

 コロナ禍を契機にリモートワークが定着したいま、都心を離れ地方での暮らしを考える人も多いのでは? そこで、株式会社良品計画でソーシャルグッド事業部を管掌する長田英知さんが、ソーシャルグッドな観点から考える地方暮らしをテーマに、新連載をお届けします。

<著者・長田英知さんプロフィール>
 東京大学法学部卒業。IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社、PwCアドバイザリー合同会社等で戦略コンサルタントとして、スマートシティやIoT分野における政府・民間企業の戦略立案に携わる。2016年よりAirbnb Japanに参画、同社執行役員として国内民泊市場の立上げに貢献する。2022年4月、株式会社良品計画に入社。現在、同社執行役員としてソーシャルグッド事業部を管掌。
 外部役職としてグッドデザイン賞審査委員、京都芸術大学客員教授等を歴任。著書に「ワ―ケーションの教科書 創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」」(KADOKAWA)、「ポスト・コロナ時代 どこに住み、どう働くか」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)他、多数。
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コロナ禍を契機としたワークスタイルの変化

 コロナ禍を経て、私たちの働き方は大きく変化しました。

 従来はどのような業種、職種であっても、毎日会社に出社する働き方が当たり前のものとして考えられていました。しかしコロナ禍による外出制限を機に、リモートワークやオンライン会議が新たな日常となりつつあります。

 都内の従業員30人以上の企業を対象に東京都が行った調査では、2022年10月時点でテレワークを導入している企業が51.9%となっています。これは2020年に比べて若干低い数字となっており、テレワークの実施率は退潮傾向にあるという指摘もあります。

参考:東京都「テレワーク実施率調査結果をお知らせします! 9月の調査結果」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/10/11/07.html


 しかしその一方で私たちのワークスタイルを振り返ってみると、顧客と一度もリアルに会うことなく契約を結んだり、中途採用面接がオンラインで完結したりということも珍しくなくなっています。今後はリアルな職場とテレワークを併用したハイブリッドな働き方が一般化していくのではないでしょうか。そしてこの流れは私たちのライフスタイルや、さらには地域の在り方にも大きな影響を与える可能性を秘めています。

地方移住とその課題

 リモートワーク中心の働き方が可能な職場で働く人の中では、自らの住まいや住む場所を見直す動きも出ています。リモートワークを在宅で行う場合、特に家族がいらっしゃる場合は生活の場と仕事の場を分けることが理想的ですが、都心部のマンションで必要な広さを確保するためには、高額の家賃を払うことが必要となります。

 一方、会社に出社する頻度が少ない働き方が可能な場合、地方でのワ―ケーション・二拠点居住、さらには移住に対するハードルも下がってきます。地方は都心部と比べて家賃は安く、より広いスペースを確保することができます。また生活コストが安く、自然資源なども豊富であるため、よりQOL(Quality of life=クオリティ オブ ライフ)の高い生活を送ることも可能です。

 しかし、地方暮らしは良いことばかりではなく、一定のハードルがあることもまた事実です。地方の生活・交通インフラは都心部と比べて脆弱な場合が多く、自動車が生活必需品となることも珍しくありません。また自分が生まれ育った土地や、過去に暮らしていた地方に戻るのではなく、まったく新しい地方に移住しようとした場合、土地の風習になかなか慣れることができなかったり、人間関係を構築するのに課題を感じることも多々あるでしょう。

本連載のねらい

 良品計画という会社名を聞いたとき、ほとんどの方は「無印良品」という店舗とその商品を思い浮かべ、それ以外の事業を知らない方も多いと思います。しかし近年、良品計画は同社が理念として掲げる「感じ良い暮らしと社会」を、各地域で実現することを目指して、産直事業や空間設計事業、宿泊事業など様々な取組を行っています。2021年の第二創業を迎え、同社はその活動をさらに加速させていますが、そこで中心的な役割を担っている部署の一つが、現在所属しているソーシャルグッド事業部です。

 ソーシャルグッドとは一般的に、「地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対して良いインパクトを与える活動や製品、サービスの総称」と訳されます。同社の中で私が特に注力しているのは、良品計画がソーシャルグッドな製品、サービスを生み出し、また同社の店舗や施設が地域のコミュニティセンターとして、地域の人々の暮らしを支え、地域内外の交流を生み出すことで、地域にとって必要不可欠な社会インフラになることです。

 良品計画がこのような社会インフラになることができれば、都市部の方が地方に居住する際のハードルが下がり、より多くの人が地域でのワ―ケーションや二拠点居住、さらには移住がしやすくなるのではないか。その可能性について現在、いくつかの地域と連携しながら実証を行っています。

本連載では、私たちが高知県・四万十町で今まさに行っている取組を中心に、良品計画の事業をご紹介していくことで、新しいライフスタイル・ワークスタイルの可能性について読者の皆様と考えていきたいと思います。

<著者 関連書籍>
ワーケーションの教科書 創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」
著者 長田 英知

ワーケーションをしてみたい人にも、個人の働き方を見直したい人にも、制度導入を検討している企業や地方自治体の人にも、ポスト・コロナ社会の働き方を考える上でおすすめの1冊。

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