地方暮らし

第3回 無印良品の空き家活用の取り組み

第3回 無印良品の空き家活用の取り組み

 株式会社良品計画でソーシャルグッド事業部を管掌する長田英知さんが、ソーシャルグッドな観点から考える「地方暮らし」をテーマに、コラム連載を開始。第3回は、四万十町との提携の詳細についてご紹介するにあたり、良品計画が空き家活用という観点で、どのような取り組みを行ってきたかをご紹介していきます。

<著者・長田英知さんプロフィール>
 東京大学法学部卒業。IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社、PwCアドバイザリー合同会社等で戦略コンサルタントとして、スマートシティやIoT分野における政府・民間企業の戦略立案に携わる。2016年よりAirbnb Japanに参画、同社執行役員として国内民泊市場の立上げに貢献する。2022年4月、株式会社良品計画に入社。現在、同社執行役員としてソーシャルグッド事業部を管掌。
 外部役職としてグッドデザイン賞審査委員、京都芸術大学客員教授等を歴任。著書に「ワ―ケーションの教科書 創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」」(KADOKAWA)、「ポスト・コロナ時代 どこに住み、どう働くか」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)他、多数。
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空き家のリノベーションに注目

 良品計画には空間設計を行う専門の部署があり、自然素材を用いた無印良品らしいインテリア、あるものを活かすリノベーション、共用の収納、場や過ごし方に馴染む家具、日々使う備品から彩りまで、空間づくりをワンストップでトータルにサポートしています。

 空間設計部はこれまで、個人邸のリフォーム・インテリアコーディネートや企業のオフィスリノベーションや公共施設などの企画・設計で実績を積んできました。また「無印良品の家」を展開し、良品計画の子会社でもあるMUJI HOUSEとともに、UR都市機構の団地活性化のプロジェクトなどにも取り組んでいます。

 そして近年、同部において取り組みを加速している分野の1つが、自治体との連携による空き家のリノベーションなのです。

空き家問題とお試し移住住宅の整備

 地域における空き家の増加は、近年、大きな課題となっています。2018年の統計によると全国の空き家数は約850万戸となっており、全戸数に空き家が占める割合も約13%にまで上昇しています。30年前の1988年の空き家数は約394万戸であり、この30年間で空き家の数は2倍以上になったことがわかります。

自治体では空き家問題を解決し、また地域の移住者を増やすため、様々な取り組みを行っています。特に最近、多くの自治体で取り組みが始まっているのが、一時的にお試しで住むことができる住宅の整備です。一般社団法人 移住・交流推進機構が2020年2月に行った調査によると回答を寄せた1,195自治体の約4割にあたる444の自治体が、移住体験ができる住宅を整備しているといいます。

参考:2019年度 移住体験施設実態調査 調査研究報告書

 また同統計によると、これらの移住体験住宅の8割以上は、民間や公有の空き家や官舎を活用したものとなっています。自治体では既存の空き家をうまく活用することで、移住者を呼び込もうとしているわけです。一方、貸し出しが行われる住宅の多くは、空き家のときの状態から大きなリノベーションをすることなく、必要最低限の家具・家電を入れて提供されており、魅力ある物件は限られているのが現状です。

良品計画の空き家プロジェクト

 こうした状況の中、良品計画が考えているのは、単に移住者向けの空き家をリノベーションするのではなく、自治体への移住体験そのものをデザイン・プロデュースするということです。具体的には、「街全体を“自分の住まう空間”と捉え、街なかの空きスペースの活用方法を考えながら、実際に滞在していただく住宅の空間づくりを行い、地域住民を巻き込みながら取り組みを進めることで地域活性化にもつなげていく」、いわば協創型のサービスを提供しているのです。

協創型のサービス提供の流れ
協創型のサービス提供の流れ

 このアプローチにもとづき、はじめて移住体験住宅のリノベーションを行ったのが宮崎県・日南市です。同市のプロジェクトでは、移住促進住宅の改修デザインを考える前に、移住先の周辺の生活インフラを確認する「街歩き」を行うとともに、移住定住コンシェルジュや空き家カウンセラーの方々にどのような人々の移住ニーズがあるかについてのインタビューを行いました。

 その結果、生み出されたのが「やさしい移住」というコンセプトと、同コンセプトに基づく移住体験そのもののデザインです。

 その後、2022年7月には世界最大級のホームシェアリングのプラットフォームで、私の前職先でもあるAirbnb Japanと提携して北海道・清水町の移住促進住宅のリノベーションを実施しました。現在、2軒のインテリアコーディネートを良品計画で実施し、もう1軒のリノベーションが2023年1月には完了する予定となっています。なお、このプロジェクトで改修された住宅は、数か月間にわたる一般的な移住体験のために提供されるだけでなく、2~3泊の短期宿泊も予約可能となっています。

<参考>Airbnb Japanと提携して北海道・清水町の移住促進住宅のリノベーションを実施
1)移住体験住宅清水3号
  2DKの貸切一軒家/北海道十勝清水町/MUJIのインテリア
2)移住体験住宅清水2号
  1DKの貸切一軒家/北海道十勝清水町/MUJIのインテリア

 四万十町との提携の背景には、良品計画の空間設計分野におけるこうした積み重ねがあったのです。

>>バックナンバー
第2回 高知県・四万十町と良品計画の提携
第1回 コロナ禍で変化していく新たなQOLとは

<著者 関連書籍>
ワーケーションの教科書 創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」
著者 長田 英知

ワーケーションをしてみたい人にも、個人の働き方を見直したい人にも、制度導入を検討している企業や地方自治体の人にも、ポスト・コロナ社会の働き方を考える上でおすすめの1冊。

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